優しさ

「お兄ちゃん、何、してるの?」
「いや、何でもない」
僕はあわてて毛布おむつを外し、パンツを上げてからズボンを穿く。
「お兄ちゃん、いただいたおせんべいがあるよって。母さんが」
「わかった」
「お兄ちゃん、それは何の真似?オムツしてたの?」
「違うよ、ふんどしはどんな感じかなって」
「でも、ふんどしならパンツを穿くことないでしょ」
「ふんどしだよ。おせんべいがあるの?食べてこようっと」
納得がいかない様子の妹をそのままにして僕は部屋を出て行った。妹は不思議そうな顔をしていたが、それ以後そのことは口にしなかった。

ほっとした数日が立った土曜日の昼間だった。母さんが僕を呼んだ。妹はまだ学校から帰ってこないので、吹奏楽の部活をやっているのだろう。自分の部屋から母さんの居るリビングに行くと、母さんがじっと座っている。母さんと僕のふたりきりだった。
「お前なあ、おむつしていたんだって」
「違うよ、ふんどしの真似事だよ」
僕は妹が母さんにちくったと思ったが、ここで妹を恨んでも仕方ない。ふんどしのまねだと言い張るつもりだった。
「ふんどしならその上からパンツを穿く必要はないでしょ。ここ1年くらいあなたのパンツはすぐ伸びてしまう原因がわかったわ。新品のパンツもすぐ伸びてしまって困っていたのよ。パンツを穿くのはおむつカバーのつもりでしょう。分かっているから大丈夫よ」
「違うよ、ふんどしの真似だよ」
僕のうそを母さんは見破っていたのだろう。ふんどしと言い張る息子を怒るわけでもなく、おむつを当てていたと決め付けた上でやさしく事実の確認をしてくる。
「毛布をおむつの代わりにしてもいいんだよ。そしてパンツをおむつカバーの代わりにしてもいいんだよ。でもね、1つだけ分かってね。おならをしたとするでしょう。そうするとお腹の中の大腸菌がおならと一緒に出るんだって。もし、毛布をおむつの代わりにしていたら、汚いでしょう。病気になるかもしれないから毛布をおむつのようにするのは止めてね」
「ふんどしだよ」
「ふんどしでもおむつでも毛布をお尻に当てたら汚いということを分かって欲しいの。それにおしっこが付いているかもしれないおちんちんもだし。それに汗臭いでしょう。分かってくれるわよね」
「そりゃ、分かるけど」
「毛布の他にはおむつにした物はあるの?」
僕は、大腸菌やおしっこが付いたかもしれない毛布をかけて寝ていたかと思うとぞっとして急に母さんに素直になっていた。だから毛布をおむつ代わりにしていたことを認めてしまっていた。
「敷布とパジャマのズボンとそれに暑い夏にはタオルケットかな」
「そう、じゃ、きれいに洗濯しなきゃね」
「そうだね」
「まだ、おむつを当てたいのなら本物のおむつがあるから当ててあげるわよ。本当のおむつなら赤ちゃんのようにお漏らししても大丈夫よ。当ててあげようか」
僕はびっくりした。母さんはおむつのことですごく怒っているかと思ったら、本物のおむつを僕に当ててくれると言う。でもそんなことがあるわけないと思う反面、恐る恐る母さんに聞いてみる。
「でも本物のおむつは家にはないでしょう」
「それがあるのよ。もう1年前かな。おじいちゃんが死んだでしょう。その時期のことだけどね。おじいちゃんが最初に倒れた時にもう寝たきりかもしれないって近所の民生委員の人が心配してくれてね。紙おむつを1カ月分持って来てくれたの。おじいちゃんに紙おむつのことを話したらね、そんなもの要らんって怒られたわ。でも一人でトイレに行くのも大変だから説得していたらね。あんなごわごわする紙おむつなど要らんってまた怒られて。だから民生委員の人に相談したらね、布おむつとおむつカバーを持って来てくれたの。またおじいちゃんに説得したのだけど、また要らんって怒られてね。トイレに行くときは肩を貸して行っていたのよ。それが、急にまた意識を失ってしまって倒れて今度は亡くなってしまったの。だから、紙おむつも布おむつもあるのよ」
母さんは1年前のおじいちゃんとのことを懐かしく思い出しながら話してくれた。僕が毛布おむつをする前の出来事だったことを僕も思い出していた。
「へえ。そうなの」
「だから、本物のおむつを当ててあげるから、もう毛布、敷布、パジャマなんかをおむつ代わりにしないでね」
僕はなんとも答えられなかった。おむつを当ててあげるというのは正直うれしかったが、素直に当てて欲しいとは恥ずかしくっていえなかった。僕はしばらく黙っていると母さんが立ちあがった。
「今、持ってくるから待っててね。おむつを当ててあげるからね」
僕はまた、呆然と待つしかなかった。おむつなんか要らない、あれはふんどしのつもりといって言い張る元気はもうなく、本物のおむつを当てられるという期待が恥ずかしい気持ちを抑えていた。母さんは死んだおじいちゃんの部屋へ行き、しばらくすると真っ白い物を持って僕の目の前に現れた。
「ほら、これが紙おむつよ。毛布やパジャマのような布がよかったら布おむつを当ててあげるけど、もう1年前だから、一度洗濯してあげるから。今日は紙おむつにしようね」
母さんは僕にかまわず、ズボンを下ろすとパンツも一揆に脱がした。小学校高学年にもなれば母さんといえどやはり恥ずかしい。ぼくはおちんちんを手で隠したが、母さんは優しくその手を払いのけた。
「あなたが赤ちゃんの時からおむつを当てて育ててきたのよ。もう何回も見ているから大丈夫よ。おむつを当てるときはお尻の穴だって見ますよ。でも大丈夫なのよ」
母さんは下半身裸の僕を畳の床に寝かすと紙おむつを右手に取る。母さんの左手は僕の両足の付け根を持つと一揆に持ち上げた。そして母さんは紙おむつを僕のお尻の下にセットすると僕の足を下ろして大きく広げた。
僕はまたあそこが丸見えかと思うと両手で隠すが母さんはまた優しく手で払いのけてしまう。
「おむつを当てますからね。動かなくていいのよ」
母さんは僕の股からおむつをお臍にかけて回すと要領よくマジックテープで固定して行く。僕の股からは今までに感じたことのないおむつの感覚が走った。すこしごわごわするけど、お尻を包む感覚と股にあるおむつの存在と大事なところを覆う感覚がよみがえってきた。母さんは僕の顔の表情から紙おむつを受け入れたことを確認するとズボンを穿かせて来た。
「ズボンを上げるから立ってくださいね」
僕はパンツを穿かない寂しさもあるが、紙おむつを当てたままズボンを穿く瞬間に期待した。母さんは立ち上がった僕にズボンをきれいに穿かせた。
「丁度いいわね。おむつを当てているとは思えないわよ。大丈夫よ」
僕はなんとも言えない気分でそのまま立ったままでいると母さんはさらに続けた。
「お漏らししたら母さんに言ってね。おむつを替えてあげるから」
僕は、そうなんだ、お漏らししてもいいのか、と思うとなんともうれしかった。でもその場で素直に喜ぶようなことはせず、じっと紙おむつの感覚を感じていた。
「さ、いいわよ、今日はそのままおむつを当てていなさい。お漏らししたら替えてあげるから。そしてあの子には黙っていてあげるから。母さんとお前の秘密だから大丈夫よ。さ、母さんは夕飯の支度をするから遊んでらっしゃい」
母さんは脱ぎ捨てた僕のパンツを持つと洗濯場へと行った。僕はその姿を確認するとそのまま自分の部屋へ行ったのだった。
紙おむつを穿かされて、僕はベットに横たわった。そしてあの毛布おむつの時のように弄んでいるとあの感覚が帰ってきた。でも、あの時とは違って紙おむつの中に漏らしても大丈夫と思うといつもより長い時間弄んでいた。そしてついにあの時が来た。僕は紙おむつの中に思いっきり放出すると、後始末をしなくてもいい安心感からベットのしばらく放心状態で寝ていた。
そしてしばらくすると何もなかったように起き上がると紙おむつの中を覗いて見る。あの白い液体は紙おむつに吸収されていて、あの後始末をしないでいいことはうれしかった。それから何もなかったように僕は夕飯まで外で遊び、暗くなってくると家に帰ってきた。
するとおしっこがしたくなった。いつもなら家のトイレでするおしっこをおむつの中にしていいと思うとゾクゾクして、僕は立ったままでおしっこをお漏らししていた。紙おむつはすばらしい。漏れるのではないかと心配していたが、紙おむつは何事もなかったようにおしっこを見事に吸っていた。でも覗いてみると紙おむつは黄ばんでいて半固形状態のようになっている。でも漏れることはなかったので、僕はそのままにしていた。
妹が帰ってきてしばらくすると夕飯だ。母さんと妹と3人でのいつもの夕飯だが、僕のお漏らしをした紙おむつは少し重いように感じた。それでも特に見た目は何にも変わらないはずだ。
しばらくすると妹はお風呂に入りに行った。すると母さんは僕をじっと見つめながら寄ってくると僕の紙おむつの臭いをズボンの上から嗅いできた。
「お漏らししたのね」
「え、いや」
「あの子がお風呂に入っている間に替えましょうね。おむつ被れになっちゃうからね」
母さんは有無を言わさず僕のズボンを脱がすと、床に寝かせて紙おむつのシールを剥がしていく。そして紙おむつを脱がすと、お絞りで僕の大事なところや股を拭いて行く。
「シッカロールはお風呂に入った後のほうがいいわね。今はこれだけきれいにしておけばおむつ被れにはならないわよ。新しい紙おむつを当てますよ」
僕は母さんの言うままになっていた。おしっこは紙おむつが吸っているのでおむつ被れにはならないと思っていた。でもそもそもおむつ被れというのがよく分からなかったが、清潔にしていないと何か良くないことが起こるらしいとしか思えなかった。
「白いおしっこもしたのね。少しずつ大人になっているのね」
おむつ被れのことを想像していると、今度は現実のあの白いおしっこのことも母さんに知られてしまった。恥ずかしかったが僕はシラを切って何も返事をしなかった。
「いいのよ。きれいにしてあげるから大丈夫よ」
母さんは何も気にせずに新しい紙おむつを僕に当てていた。紙おむつを当て終わると母さんは何もなかったように夕飯の片付けをする。僕もいつものようにテレビを見始める。
「出たわよ」
妹が風呂から出てきた。母さんはすかさず、僕に風呂に入りなさいと言う。僕はおむつの外し方とお風呂から出た後のおむつの着け方がよく分からないままで風呂場に行った。紙おむつのシールを剥がせば紙オムツは簡単に外すことができる。でも風呂を出た後のおむつを付けるのはどうしようと重いつつ風呂に入った。脱衣所では紙おむつが見えないようにバスタオルの下に隠して入るのを忘れなかった。
風呂から出てバスタオルで体を拭いていると、奥の部屋から声が聞こえた。
「母さん、今日は部活で疲れたからもう寝るね」
「そう、お休み」
妹が珍しく早く寝る挨拶をしていた。すると風呂場のドアを開けて入ってくる母さんが目の前のいた。
「あら、丁度タイミングね。一人ではおむつを当てられないでしょう。あの子は今寝たから大丈夫よ。ここで当ててあげるからね、おむつ」
母さんは僕を無視して床に寝かすと紙おむつを当て始めた。まだ、湿っている体も拭いてくれながら紙おむつを当ててくれた。
「はい、OKよ。後は自分でパジャマを着なさい」
母さんは僕に紙おむつだけ当てると一人でそう話してそしてすぐに風呂場から出て行った。しばらくして母さんも風呂に入り、出てきたのを確認すると僕はあくびをしながらお休みと言っていた。

おとなの赤ちゃん返り
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