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会社員で30歳になった時の初めての人間ドッグ。いろいろな検査があったけれども胃レントゲン検査は初めてのバリウムと下剤を飲んでからの検査のようだ。ヨーグルトのできそこないのようなバリウムを飲むと物心がついてからは初めての下剤も飲まされるようだ。緊張しながらも待合室で待つ。初めての心配な検査はこの胃レントゲン検査だけだ。
「鈴木さん、鈴木和也さん」
それほど多くの待ち時間ではなかったようだが、初めての検査で呼ばれると緊張する。
「は、はい」
「鈴木和也さんですね、こちらへどうぞ」
緊張しながら恐る恐る部屋へと入っていく。そこには大きなベットのような台が垂直に立っている。そしてレントゲン写真を撮るようなよくわからない機械が鎮座している。
「はい、そちらへ立ってください。そして、これはバリウムが体の中で固まってしまうのを防ぐために排泄するための下剤ですから最初に飲んでください」
やさしくでも命令調で言われると少し嫌な気がするが、変なものを飲まされて体の中で固まっては大変だ。小さな赤い錠剤を飲みこむと女性の検査員は隣の部屋に入る。そこからマイクを通じて、左側に置いてあった紙コップに入ったバリウムを飲むように指示された。恐る恐る少しずつ飲みはじめると、一揆に飲んでください、と無理を言う。仕方ないし、早く終わってほしいので、言われるままにバリウムを飲みこんでいく。そのあとはベッドの上で、上を向け、うつ伏せになれなどと仕方なく、体を動かす。その間、レントゲンの機械が、移動しながらカシャ、カシャと俺の体の写真を撮っていく。
しばらくすると、「お疲れ様でした」とのやさしい声をかけられて胃のレントゲン検査は終了した。最後に、今日は水分をたくさん取ってください、と注意をされてようやく終了した。
残りの簡単な検査も終了すると昼ごはんだ。用意された弁当を食べて、総合判断の時間まで空き時間となる。が、そろそろ下剤が効いてきた。トイレに行くとなんとまっ白い半固形ものが出ているのがわかる。これでバリウムともお別れだと思っていた。午後の総合判断の結果を聞いて、とくに異常なしの診察結果はうれしい。このまま自宅に帰ってもよいことになっているが、少し仕事で心配なことがあるので、会社に戻ることにした。
人間ドッグのビルを後にして駅に向かう。6月とは言え、温かくなったり寒くなったりで気温の上下が激しい日々が続いていたが、今日は少し寒い。体に当たる風が冷たい。初めての下剤の効果は既に人間ドッグで終わっていたと思っていたが、この寒さに影響してか、再度、おなかの調子がおかしくなってきた。おかしくなってくるとあの下剤の影響からか、激しい便意が襲ってきた。これはトイレを探さないと危ないと思い、探すがなかなか見つからない。人間ドッグのあるビルならトイレの位置もわかっているので戻ろうとも思うが、もうすぐ駅に着くし、どうしようと思いながら歩き続ける。
激しい便意と戦いながら、トイレを探しながら歩いていたせいか、目の前の歩道の状況にはあまり注意がいかなくなっていたのだろう。歩いていた歩道の段差に思わず足を取られて下半身に力がかかってよろけた。普段ならなんでもない歩道の段差なのだが、この時は注意散漫になっていた。
「あ、やばい」
と思った時にはもう遅かった。激しい便意のお尻から少しだけ漏れてしまった。だが、周りには人の目がたくさんあるので、何事もなかったように歩き続け、さらにトイレを探すのだった。その時だった。目の前にコンビニがあり、トイレあります、の看板が目に入った。そうだ、汚れた下着の替えパンツを買ってそのままトイレを借りようとしてコンビニに駆け込む。
昼時の買い物も終わった3時に近い時間帯のため、コンビニには中年の女性1人がレジに立っていた。コンビニですぐにパンツを探すとすぐにレジに向かった。
「いらっしゃい」
中年の女性の店員はバーコードを読み込むと金額を告げる。私はまだ続いている激しい便意に思わず冷や汗が出るほどだった。そしてお腹からもあの特有の音が聞こえてくる。そんな私の状況をおかしいと思ったのか、店員はゆっくりと購入したパンツを袋に入れようとする。
「あの、袋は要りませんから。それですいませんけど、トイレを貸していただけないでしょうか」
女性の店員は私の異常な状況を察知したのだろうか。少しの沈黙のあと、小さな声で私にささやいてきた。
「あの、失礼ですがおもらしですか?お手伝いしますよ」
「いえ、トイレを貸していただけますか」
そのままはい、おもらしです、など口が裂けても言えるはずがない。そんなことより、早くトイレに行かないとさらに漏らしてしまいそうだ。これ以上はもう限界だ。
「はい、こちらへどうぞ、トイレは少しわかりにく場所なので」
中年の女性は小さく私につぶやいた。と同時にアルバイトの別の店員へ大きな声で言う。
「レジ、お願いします」
中年の女性の店員は私を引率して、コンビニのあるドアを開けると中へと入っていくと、またもうひとつドアを開ける、そこには洗面所があり、さらにその奥にがトイレのようだ。
「こちらです、このドアはカギをかけましたので、大丈夫ですよ」
女性は私のかばんを受け取ると、私をトイレの中にいれ、ズボンを脱がそうとする。
「あの、ドアを閉めますけど」
「あなた、おもらしでしょ、お手伝いしますから、トイレを汚してほしくないの。さ、早くズボンを脱いで。お漏らししてもまだ、残っているのでしょう。ほら、早く脱いで残りをトイレで済ませないと、またお漏らしですよ」
激しい便意と戦っているので、女性との会話はどうでもよくなり、ズボンを脱いで、汚れた下着も恐る恐るずらして洋式便器にまたがると同時に私のお尻から残っていたものが大きな音とともに排泄された。もう近くに誰がいようとかまわないくらい切羽詰まった状態で中年の女性が目の前にいることなど忘れて踏ん張るしかなかった。
「あ〜、落ち着いた。あの、出て行ってもらえますか」
「だめですよ、思った通りお漏らしでしょう。トイレを汚してほしくないので、お手伝いしますから」
「で、でも」
「大丈夫ですよ。まず、足をあげてください。ズボンを脱がします。それから汚れた下着はこうして新しい下着の袋に入れますよ。はい、ウォシュレットできれいにしてください」
私は忘れていたお尻をウォシュレットできれいにしていく。見づ知らずの中年女性がトイレに一緒に入り、私の排泄行為を見ているなど恥ずかしいことなのだが、激しい便意には勝てずに女性の目の前で用を足してしまった。
「はい、じゃ、そのまま立ってください。汚れたお尻を拭きますよ」
「自分でやりますから大丈夫ですから」
「あなたのお尻のどの程度が汚れているかを自分で見ることはできないでしょう。トイレはきれいにしておきたいので、言う通りにしてください」
仕方なくそのまま立つと、女性は私のお尻を自分のほうへ向けさせる。そして私のお尻をきれいに拭こうとする。
「このシャツを手で持ってください、私が持っているときれいにできませんから。前は隠さなくも大丈夫よ。それより、シャツまで汚れたら大変でしょ」
仕方なく私の大事なところを見えないように抑えていた手を離し、後ろに回すとシャツを抑えた。女性はそれを見ると私のお尻をきれいにしてくれたのだった。
「はい、きれいになったわよ。じゃ、新しいパンツを穿いてね。そしてズボンを穿いて」
「もう、本当に大丈夫ですから」
「最後に、その汚れた下着は洗っておきますからね」
「いえ、処分してください」
「だめよ。まだきれいに洗濯すれば穿けるでしょう。もったいないわよ」
私が買ったばかりの下着を穿き、ズボンを穿くと、女性はようやくトイレから出ようとする。私もカバンを持ってトイレから出ようとする。恥ずかしいからもう早くこのコンビニを出たいのだ。
「あの、おもらしさん、汚れた下着は洗っておきますので、明日の夜の8時にまたここへ来てくれますか」
「いえ、結構です、処分してください」
「おもらしさん、さっきも言ったけど、それは持ったないでしょう。取りに来ないのなら今、自分で持ち帰ってください」
自分の下着とは言え、大きな方の薄い黄色く汚れたパンツをカバンに入れて会社へ行くのは気が引ける。万が一会社の同僚にでも見つかったら大変だ。
「わ、わかりますけど。勿体ないのも分かりますけど。。。」
おもらしさんと呼ばれてそのままそれを否定もせずに会話をしてしまった自分が情けなくなり、私は一刻も早く、この場を立ち去りたかった。だが、一様私のおもらしの始末をしてくれたのだからお礼を言わなきゃいけないし、かといってバツが悪いので恥ずかしい思いもある。私が迷っていると、女性は汚れた私の下着の入った袋を手に取ると、それを私に渡そうとしてきた。
「明日の20時に来てくれますか?それともこれを持って帰りますか」
私はこの場から逃げ出したい衝動をこらえて、一言言って立ち去るのが精一杯だった。
「あの、今日はありがとうございました。明日の夜の8時にまたここに来ますから」
 
おとなの赤ちゃん返り
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