10.メモリアル

車で数分の場所にあるファミリーレストランに皆で入った。恵子の真っ白な赤ちゃんの洋服が注目を浴びるが美樹と由樹は恵子を奥のテーブルへエスコートしていく。椅子に座りメニューを見ていると美樹が意外なことを言う。
「恵子さん、今回が最後のお食事だから好きな物を注文してください。やっぱりお肉系がいいかしら」
「ええ、じゃ、ハンバーグをお願いします」
「了解、それに今回が最後だから自分で食べていいわよ」
恵子はもうこのアルバイトも終わりだから少し大人の気分で食事ができると思うとうれしかった。やがて注文した料理が出てきた。美樹も由樹も同じハンバーグのランチだ。
「この店のハンバーグはおいしいのよ。おいしいでしょ」
まだ油がはねるようなアツアツのハンバーグを恵子も堪能した。またここで哺乳瓶でミルクを飲まされるかと思ったが、最後にチョコレートパフェのデザートを食べて食事は終わったが、車に戻ると由樹はバッグから哺乳瓶を出してきた。
「皆のいる場所では飲まないと思ったので車の中で飲みましょうね」
由樹は後部座席に恵子を寝かすと自分の膝枕の上に恵子の頭を乗せると哺乳瓶を恵子に咥えさせた。
「もう、お腹一杯ですから」
ハンバーグランチにチョコレートパフェの後ではお腹も一杯だったが、由樹は許してくれそうにない。
「もうそろそろ最後のミルクですから飲みましょうね」
そう言われると恵子も最後のアルバイトの仕事だと思って少しずつ飲んでいく。
「恵子さん、昨日撮ってもらった写真を受け取ってお家でメモリアルをしましょう」
「メモリアルですか」
「そうよ、記念写真とビデオを3人で見て今回のアルバイトを振り返りましょう」

昨日訪れたスーパーの中にある写真館で写真を受け取り車に戻ると恵子はまた尿意を覚えた。でももうこれでマンションに帰るはずだと思って車に乗り込むと車はマンションへの帰り道とは反対の方向へ進んだ。恵子の不安そうな顔を見て由樹は恵子に囁の顔色を見る。
「また、おしっこかな」
「い、いえ、大丈夫です」
「そう、よかった。今は布おむつだからお漏らししたら車の中で替えてあげようかと思ったけど大丈夫なら、これから3時のお茶用のおいしいケーキを買って帰りましょうね」
「え、ええ」
恵子は生返事をしたが、ミルクの中に入れられている利尿効果のあるサプリメントは少しずつ尿意を加速させていく。やがてお目当てのケーキ屋に着き、色とりどりのケーキに目移りしていたが、定番のショートケーキを3つ買った。生クリームの匂いが充満する店から出て車に乗ると恵子は身震いをした。
「恵子さん、大丈夫。赤ちゃんは3時間おきにミルクを飲めば3時間毎にお漏らしもするのよ。我慢しないでね」
「は、はい、大丈夫です」
そう答えたものの恵子の尿意はもうそろそろ限界だった。その様子を由樹は見ながらさらに恵子に問いかける。
「恵子さん、お漏らししたら車の中でもおむつを替えてあげるわよ」
由樹は恵子の下半身に手を入れるとおむつが濡れていないかを確かめてくる。恵子は急なことで慌てた。
「大丈夫ですから」
由樹は恵子のおむつが濡れていないことを確認するとすぐに手を抜いた。
「大丈夫、濡れていないわね。でも、大分つらそうだったから。遠慮なく言ってね」
恵子は黙って頷くがもう尿意は我慢できそうにもない。マンションの建物が見えてくると恵子は最後の我慢をしていた。駐車場に入り、美樹がベビーカーを用意している間に由樹は恵子を車から降ろしたが恵子はもう由樹の体にしがみつくようにしていた。そしてベビーカーが目の前に来た時、恵子はもうおしっこを出し始めていた。ベビーカーに乗せようとしても動かない恵子はまさしくおむつの中に放尿している姿そのままだった。顔を下にして涙を流しながらじっと動かない。お漏らしの最中だと確信していた美樹と由樹はやさしく恵子の姿を見守っていた。やがて、恵子がベビーカーに乗ろうとして少し動いた。
「恵子さん、最後のお漏らしかな」
「そ、そうです。おむつを替えてください」
恵子の小さな声は地下の駐車上で美樹と由樹の耳に十分に届いた。
「そうね、じゃ、お部屋で取り替えましょうね」
恵子は頷くと同時に昨日のアルバイトの初日と同じ状況でお漏らしをしたことを思い出した。もうこれで最後だわと思いながら恵子はベビーカーに乗った。

部屋で汚れたおむつを外され、シッカロールを付けられると由樹は恵子に再度布おむつを当てた。恵子はそうそろそろ時間的に終わりにしてくれないかなと思っても夕方5時までは仕方なくおむつを当てられる。
「恵子さん、もう3時だわ。さっき買ったショートケーキでお茶しましょう。飲み物は紅茶でいいかしら。もうミルクは終わりにしましょうね」
由樹は紅茶とケーキを用意し、美樹はさっき受け取ったアルバムを持ってきた。美樹はカメラとパソコンをつなげると何やらやっている。次に美樹はパソコンと大画面のテレビをつないだ。
「さ、準備はいいわよ」
「ええ、紅茶とケーキも用意出来たわ」
恵子もソファに座ると女性3人でのお茶会の開始だ。まず美樹は受け取ってきたアルバムを開いた。赤ちゃん姿の恵子がかわいらしく写っているが、恵子だとは分らない。さすがは写真のプロだ。素人では撮れないようなきれいな写真に仕上がっている。
「かわいく撮れているわ。恵子さんも1枚持っていく?」
「遠慮しておきます」
恵子は記念に欲しいとも思うが恵子とは分らないまでも大きな赤ちゃんの写真を誰かに見られれば追求されてしまう。
「そう、欲しくなったら遠慮なく言ってね」
美樹がノートパソコンとテレビのリモコンを操作した。テレビへの信号が無い真っ青な画面の次にはパソコンの画面が表示された。
「あら、紅茶が冷めちゃうからどうぞ。それとケーキもどうぞ。ここのケーキは美味しいのよ」
美樹と由樹がショートケーキを食べ始めるのを見ると恵子も自然とフォークを手に持ってケーキを取って口に運ぶ。
「おいしい」
「そ、よかった」
2日間、ミルク攻めだった恵子のお腹にはショートケーキの甘さと酸っぱさがジーンと響く。そのまま2口3口と頬張りながら紅茶を飲んでいく。
「恵子さん、今回のアルバイトはどうでした?」
「どうって、恥ずかしいことの連続で」
「慣れてしまえば楽なアルバイトでしょ。そう、じゃ、今回のアルバイトを振り却ってみましょう」
美樹はパソコンを操作すると昨日始めてマンションに来て赤ちゃんの洋服に着替えるところ、お化粧しているとこが写っている。だんだんと大人の恵子からまるでイラストのような赤ちゃんの顔になっていく写真を見せられていく。
「動画もあるのよ」
いつの間に撮影したのかと思えるほどの恵子の動画が大画面テレビに映し出される。美樹はまたパソコンを操作する。
「こんな場面もあるの」
それは恵子が始めておむつを当てられている光景だった。しなやかな餅肌の恵子の下半身が少しずつ布おむつに隠れていく。
「やだ、恥ずかしい」
恵子は思わずテレビから目を背ける。その後も写真館に行ったときなどの写真と画像が映し出されている。恵子はまたチラチラとテレビの画面を見つめる。
「恵子さん、初めてのお漏らしは駐車場だったわね」
テレビには恵子が駐車場の車から降りてくるとうずくまってしまっている姿が映っている。そうだ、最初にお漏らしをしてしまったあの駐車場だ。恵子は思わずまたテレビから目を背ける。テレビには昨日のランチで恵子が食事を食べさせてもらっている場面、そして散歩に行って中年の女性や幼児とのおしゃべりの内容、そして夕飯の買い物にスーパーに行き、おむつ替え室へ入っていく恵子の姿が写っている。それが終わると歩行器の中でおしゃぶりを咥えている恵子の姿から歩行器の中で夕飯を食べさせてもらっているとこと、そしておしっこをお漏らししたおむつ替えのシーンまで映されている。
「やだ、恥ずかしい」
恵子はまたテレビの画面から目を背けるが美樹は映した内容を次から次へと映していく。風呂上がりの裸で紙おむつを当てられ、パジャマを着させられるとすぐに画面は翌朝の風景になった。由樹がベランダに恵子の汚したおむつを洗ったのを干しているのが映し出されている。
その後は、恵子が登場し、その干された布おむつを見ている光景が映し出された。昨日からのアルバイトの様子を一通り見させられていると一番思いだしたくない場面が映し出された。恵子はまさか映されている知らなかったが、やはりその場面がテレビに写った。それは恵子がウンチを歩行器の中で漏らした後のおむつ替えのシーンだった。
「やだやだ、もういい」
「そんなこと言わないの初めてのアルバイトのメモリアルよ」
そのシーンが終わった後は、今日の出来事が映された。まだ記憶に新しい光景が映し出された後、美樹はパソコンを止めた。
「恵子さん、いいメモリアルでしょ。それで相談があるのだけど」
「相談ですか」
恵子はもうこのアルバイトも終わりの時間が近づいているので、ようやく解放されると信じているが、まさか、延長ということはないと信じる。アルバイト自身は初めての経験で抵抗もあったが、アルバイト料を考えればまた次回ということもないわけではない。しかし、今日はもう赤ちゃんの姿と生活から解放されて日常生活に戻らないとおかしくなってしまいそうだ。でも、どんな相談なのかを恵子は恐る恐る聞いてみる。
「相談ってどんなことでしょうか」
「聞いてくれる!うれしい」
美樹は笑顔で由樹と見つめ合うと本題の相談の内容を話し始めた。恵子は唾をゴクリと飲み込むと美樹を見つめたが、恵子はまた尿意が襲ってきたことに気付いた。どんなことを相談されるのかという緊張と紅茶に入れられた利尿効果のあるサプリメントの効果だった。
「この写真と動画をね、次回のアルバイト募集のために使いたいの。もちろん、目の部分を黒くして隠して誰かは分らないようにするわ。そのまま表示しても誰か分らないから十分だと思うのよ。もちろん私たちの目にもそういう細工をして分らないようにするわ。次に募集してくるアルバイト希望の方にこのアルバイトがどんなアルバイトなのかを見せてあげたいの」
「そ、それは」
「もちろん、公開していいものだけよ。公衆上問題のあると思われる写真や動画は公開しないから安心してね」
恵子は思いがけないことに頭が混乱したが、このインターネットの時代だったら誰しも考えることかもしれない。それでも返答はすぐにはできない。
「もちろんタダとは言わないわ。今回のアルバイト料の2倍だすわ。それにもちろん顔は分らないようにしますから。どうかしら」
2倍のアルバイト料と聞いて恵子は魅力を感じた。気分が落ち着いたらまたアルバイトをお願いしようかとも考えている恵子には魅力的だった。
「また、次の募集をされるのですね」
恵子は自分が次もご指名を受けるのではないかと期待もしていたのだったが、他の人も募集するようだ。
「ええ、今回は初めてでいろいろあったけど、赤ちゃんのお世話は楽しかったわ。ありがとう。恵子さんもまたこのアルバイトに応募してくれる?」
「ええ、少し落ち着いたら考えてみます」
「そう、それはよかった。それで次の募集のためにこの写真や動画を使いたいという気持ちは分っていただいたかしら」
「え、ええ」
「それはOKということ?」
恵子は顔を縦に振って返事をした。恵子がどうかわからない顔なのにそれにさらに細工をしてもらえれば大丈夫でしょう。それにアルバイト料が2倍は魅力的だった。その返事をした後、恵子はさっきの尿意が限界に達しているのを感じた。また、体が勝手にブルッと震えてしまう。その姿を由樹は見逃さない。
「恵子さん、おしっこでしょ。このアルバイトの最後のおしっこね。そのままじゃしにくいからこっちへいらっしゃい」
恵子はもじもじしながらソファから立ち上がると、部屋の隅にあったオマルの前へ連れていかれた。恵子は思わず体をみ構えるが股をこすりつけておしっこを我慢している。
「恵子さんはまだおむつは外せない赤ちゃんだけどそのままじゃお漏らししにくいでしょ。だからそのままこのオマルに跨ってお漏らししなさい」
恵子は嫌々をしながら激しい尿意に耐えている。早く座って楽になりたいという気持ちとおむつをしたままでもオマルに跨ってお漏らしをすることが恥ずかしい。でももうそんなことも言っていられないほどの尿意の強さだ。
「恵子さん、最後のお仕事よ。おしっこしようね。早くオマルに跨りましょうね。おむつを当てたままお漏らししましょう」
恵子はその言葉にもう従うしかないと思い、オマルに跨ると両足を開いておむつの中に放尿を始めた。
「あ、あー」
勢いよくおむつの中におしっこを出しながら恵子は嗚咽を穿いた。美樹はその光景も逃さずにカメラに収めている。やがて、放尿が終わると恵子はつぶやいた。
「あのおむつを替えてください」
「はい、はい、きれいにしましょうね。最後のお漏らしもよくできたわね。いい子よ。もうこれで普通の尿意に戻るはずですから安心してね。今までのミルクやさっきの紅茶にも利尿効果のあるサプリメントを入れてあってね。おしっこが近くて強力なのはそのせいなの。でももう飲まなければ普通の生活ができるから安心してね」
恵子はそうだったのか、と恨めしく思う。ミルクなど水分をちょっと多く取り過ぎた位では尿の回数もその欲求も多すぎた理由が分かった。
「じゃ、最後のおむつ替えじゃなくて、おむつは外して大人の服に着替えましょうね」
由樹は汚れたおむつを外して恵子の下半身をきれいにしていくと昨日穿いていたショーツが洗濯されていて、それを恵子の目の前に出す。
「ここからは自分でしましょうか。帰り支度です」
恵子はショーツを穿き、ブラジャを付けて昨日来ていた洋服を着る。由樹は恵子のお化粧を落とし始めた。恵子はいよいよこの赤ちゃんの洋服と生活が終わるのだと思うと少し寂しい。昨日初めてこのマンションに来た時の姿になって時計を見ると夕方の5時だ。
「恵子さん、今回のアルバイト料よ。さっきの分も含まれていますから」
恵子は丁寧に封筒を受け取ると一様中身を確認した。安心した顔になることを確認すると美樹と由樹はふたり同時にお礼を言った。
「可愛かったわよ。アルバイトをやり遂げてくれてありがとう」
「お世話になりました。またありがとうございました」
「こちらこそ今回のアルバイト、ありがとうね。また応募してね」
「本当にありがとうございました」
「次回は想定外もクリアしましょうね。それに今回はできなかったこともいろいろあるし、楽しみにしているわ」
「想定外なことですか」
「そうよ、あれとあれ。検討してまたネットから応募してね」
「え、ええ」
恵子は少し不安な気持ちが出てくるが、それはこれから考えればいいとして微笑む。その顔を美樹が確認すると由樹と目で確認する。
「じゃ、恵子さん、車で駅まで送るわね」

美樹と由樹は次回の赤ちゃんに期待しながら、また恵子との短い赤ちゃん生活を懐かしみながら、さよならを噛みしめた。
 

おとなの赤ちゃん返り
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