ミルキ−アルバイト−2

1.恥ずかしがり屋からの応募
2.子供の頃の思い出
3.素直への入り口
4.囲まれた中で
5.広い個室で
6.夕食+アルファ
7.寝んねの時間
8.公園の幼稚園児
9.ケーキはこうして
10.メモリアル

1.恥ずかしがり屋からの応募

美樹は初めてのミルキーアルバイトをしてくれた恵子の写真を選んでは自分のブログに張り付けていた。赤ちゃんの衣装をまとい本人と分らないようにお化粧した恵子の顔のアップ、初めてのお漏らしの瞬間におむつ替えの写真。ベビーウォーカに入った格好やオマルに跨った写真などだ。ある程度、ミルキーアルバイトの全体がわかるように少しずつコメントも入れて一通り完成すると由樹に見てもらう。
「由樹、こんな感じでどうかしら」
美樹はミルキーアルバイトの最初の写真からクリックしながら次々と写真を見せていく。恵子とは分らない大きな赤ちゃんが哺乳瓶からミルクを飲み、お漏らしをしておむつを替えてもらう一連の写真はミルキーアルバイトの概要が分る感じに仕上がっていた。
「いいわ、これなら不要な問い合わせは少なくなるわね。アルバイトの内容を知って問い合わせや応募してくれる人のほうが採用する確率が高くなるわよね」
「そうよね、最初の時は同じような説明が多くて困ったわよね。でも、こういう写真をみてアルバイトの内容を分ってもらった人からの応募のほうがいいわよね」
「そろそろ次の人を募集してみましょうか」
「OK、じゃこのブログへリンクして次の募集をかけましょう」

次の日、アルバイトの内容を紹介するブログへのリンクを張った内容でミルキーアルバイトの募集が公開されたが、前回とは違って1日待っても応募はなかった。採用する確立が高くなるということは応募してくれる人が少なくなるということなのか、何か満足のいかない感じで美樹と由樹は1日が終わりになりそうで張り合いがない。それでも、由樹は可能性の高い最初の赤ちゃんになってくれた恵子を想像して、女の子用のスカート付きのロンパースや、女の子用のベビー用品を作っていた。初めての赤ちゃんになってくれる人には色の付いていない純白の赤ちゃんの衣装にすることは美樹とも意見が合っていた。そして2回目以降も応募してきてくれそうな感じがあったら、女子か男子用のベビー服を作っていく計画だった。
「恵子さんはこのブログを見てくれたかしら」
「そうね、見てくれてもう一度応募してくれるといいのだけど」
「そうよね、恵子さん、恥ずかしがって可愛かったわ。また応募してくれないかな。今度は女の子の赤ちゃんの衣装も準備できたのにな」
その日はとうとう応募も問い合わせも1件なく終わった。美樹も由樹も少しがっかりして明日を待った。

翌日の午前中も応募も問い合わせなく終わった。美樹は初めての募集に比べてあまりにもないのでブログの内容を確認するが、特に問題はない。ブログのカウンターは少しずつだが、アップしている。でもそれは全く関係ない言葉でヒットした検索サイトからのアクセスとも考えられるのでおかしなことではない。アルバイト募集の2日目も終わりに近づいた夕方に応募のメールがやっと来た。
「由樹さん、ようやく1通来たわ。男性よ」
「最初に比べて極端に応募が減ったから、今度の人は大丈夫かしら」
「電話してみるね」
美樹は応募内容を見て、もしかしたらと意外と確率が高いかもと思いながら携帯を取り上げた。
「由樹さん、この人、ブログを見てくれての応募よ」
「じゃ、アルバイトの内容を理解してくれて応募してくれたのかな」
「それを確かめてみるね」
美樹は応募してくれた人の電話にかけた。呼びだし音が数回するが、応募者は出ない。美樹はもう切ろうかと思ったときに電話は繋がった。
「もしもし、ミルキーアルバイトへの応募ありがとうございます」
美樹は応募者が男性ということで、すこし緊張しながら話しを始めた。話しの内容はブログに掲載されている内容は本当かという内容に始まって、アルバイト料の確認とか通り一遍の確認の会話が聞こえる。
「そうです。皆さん哺乳瓶からミルクを飲むことやおむつにお漏らしというところで赤ちゃんに成れない方が多かったですよ。ええ、でもブログにあるようにアルバイトの実績はありますので」
応募をしてきた男性はこういうアルバイトの現実性に疑問を持っているようで、本当にこの内容でこのアルバイト料がもらえるのかという心配があるようだ。美樹がブログの内容を説明しているとその心配はなくなってきたようだ。それを見計らって今度は美樹が質問を始めた。
「赤ちゃんらしく、あそこの毛もなくしますけど、大丈夫かしら」
美樹は最初の赤ちゃんになってくれた恵子の時に想定外と言われて出来なかったことをズバリと聞いた。電話の会話ではやはりそこまではという感じだったが、病院での入院生活で経験があるということからそのことも納得してくれたようだ。美樹は最後の確認としてもう一度確認する。
「赤ちゃんの衣装をまとって哺乳瓶からミルクを飲んでおむつにお漏らしする生活は大丈夫ですね」
電話では確認済みというような安心感に満ちた会話が聞こえてくる。突然、美樹の声のトーンが落ちた。
「え、ママ役は私たちですけど」
応募してきた男性はママ役の人柄を心配しているのか、美樹は丁寧な言葉を使う。そのまま、電話での会話は続くが、美樹は頷いたり、生返事をしたりの繰り返しが続く。美樹は頃愛を見つけてずばりと聞いてみた。
「結局、私たちみたいな女性の前で赤ちゃんのようにするのは恥ずかしいということですか」
応募者は単刀直入に聞かれて驚いたようだが、やはりそうだった。病院での仕方ないおむつ生活とは違って健康な男性が女性の前で下半身をあらわにするのは恥ずかしいということだった。
「大丈夫ですよ。私たちはそんなウブじゃないですし、優しく接しますから。私たちはアルバイトの方には赤ちゃんのようになり切ってもらえればそれでいいんです。その点は何も心配いらないですよ。ずいぶんと恥ずかしがり屋さんなんですね」
美樹のその一言で応募者は踏ん切りが付いたようだ。面談の場所と日時を決めると長い電話はようやく終わった。

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初めての一泊二日のミルキーアルバイトを終えた白蔵 恵子はいつもの通り大学へ通う。小説好きの恵子は大学でフランス文学を専攻している。大学へは電車で3駅と近い場所にワンルームマンションを借りている1人暮らしだ。毎日夕方の買い物をして自炊をするのが通常だが、時には友達と外食をすることも多い。恵子がよく行く自宅近くのスーパーは大型で食品、雑貨、衣類など豊富な品が揃っている。
ミルキーアルバイトが終わってから恵子は少し変化していることに気付いた。それは口さみしいことが多くなったことと、トイレをぎりぎりまで我慢するようになってしまったことだ。一泊二日とはいえ、3時間に一回の哺乳瓶からの授乳とお漏らし、そしておしゃぶりをほぼ1日中当てていたことが原因だと考えていた。そしていつものスーパーでの夕飯の買い物を終えると思い立つと2階の衣類売り場に向かった。女性向けの売り場を通り抜けると遠い記憶にあったベビー用品売り場が見えてきた。かわいい小さなドレスや普段着、そしてロンパースや涎かけなどのベビー用品が並んでいる。
恵子はまず自分が口寂しくなってしまったことを解消するためにおしゃぶりを手にとった。値段も手ごろだし、家に居る時はおしゃぶりをすれば大分気分が和らぐと思って買おうと思う。でも私自信が使うんじゃない、もちろん、そう、自分の赤ちゃん用に買えば店員さんも不思議には思わないだろう。そうならば、哺乳瓶も買っていこうか。飲み物も哺乳瓶で飲めば口寂しくなくなる。恵子はおしゃぶりと哺乳瓶を買い物籠に入れた。次に目に入ったのが涎かけだ。真っ白な布にかわいいチョウの刺繍がしてある。こんな小さな涎かけでは大人の恵子には用を足さないと思いつつ、涎かけをすることが必要なのとそれも買い物籠に入れた。この際だから財布が許す限りは買っていこうと思ってベビー用品を見て回る。するとブルマが丸見えの短いスカートのロンパースが目に入った。思わずかわいいと手に取ってロンパースを見ながら、赤ちゃんへの着せ方を確認した。本当の赤ちゃんならおむつで膨らんだお腹をこのブルマが隠すが、そのブルマは短いスカートでは隠しきれずにマル見えだ。だけどかわいい。そのロンパースを自分の体に当てて鏡を見るわけにもいかないが、正直家で体に当ててみるだけでもいいと思う。実際着れるわけでもないが、自分の体に当ててみたいと思う。恵子もそのロンパースも買い物かごに入れていた。
口寂しい状態を無くすためにおしゃぶりだけ買おうと思った買い物は思わず他の買い物もしてしまった。でも、もうひとつの悩みのトイレをぎりぎりまで我慢してしまう状態はどうしたらいいのだろう。思わずチビッテしまうことのためにバッグの中には替えのショーツを入れておくようにしていたが、チビッテしまうより、オムツはどうかしたらと自問自答しているが、答えは出ない。
ちびってしまうよりおむつを身につけて漏らしてしまう方がどんなに楽か、いや、お漏らししたらそのおむつはいつどうやって替えればいいのかしら、いいえ、お漏らしぎりぎりまで我慢するのがよくないのよ。さらに自問自答しても答えはないのでそのまま売り場を歩くが、ベビー用品売り場には布おむつもおむつカバーは売っていないことに気付いた。
そうだ、今の時代は紙おむつの時代だからと思い直してまた1階の売り場に行く。紙おむつ売り場には赤ちゃん用、幼児用、そして介護用の紙おむつが並んでいる。自分の体に合う紙おむつと言えば介護用しかないが、病院で見かけたようなグリーンの介護用紙おむつは見過ごして赤ちゃん用の紙おむつを見てみる。自分の赤ちゃん用として買うのはいいが、正直恵子自身に当てるにはあまりにも小さい。だが、赤ちゃん用でもなく介護の大人用でもない中間の子供用の紙おむつが目に着いた。サイズを見るとウェストも小柄の恵子に合うかも知れない。パンツ式もテープ式もあったが、ミルキーアルバイトで当ててもらったテープ式を迷わず手に取った。恵子は自分が当てるのではなく、存在しない小さな年の離れた妹に買っていくのだと自分に言い聞かせて買い物籠に入れた。気が付けばもう予算ぎりぎりだ。精算しながら恵子はまたミルキーアルバイトに応募することに決めていた。

 

おとなの赤ちゃん返り
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