おむつの企画
(おむつは仕事よ)


芥川秀一

 由紀はその日のことを何回も頭で繰返していた。健一の言葉、顔の表情や、下腹部の状態など頭で繰返し思いだしながら、レポ−トを書いていた。
紙おむつのメリットとデメリット。布おむつのメリットとデメリット。そしてそれらを頭に入れながら、そして繰返しながら、ではどうしたらいいのかを考えていた。
 結論は「パンコットン」であった。製品名から先に決めてしまった。
つまり、紙おむつの吸収力はそのままに肌触りを布おむつの感覚にしたおむつであった。
赤ちゃんにとっての吸収力は今の紙おむつのままに、しかし、着けた感触は布の感じで、さらに濡れた感じが残り早くおむつ離れが進む様にする。
 一方、老人や病院用では、やはり、紙おむつの吸収力はそのままに、そして同じく着けた感じが布のようなおむつ。しかし濡れた感じがしないおむつ。それは洩らしたくて洩らしているわけではないので、もし、洩らして濡れた感じが少ないほうがいいと考えたのだ。
 問題は実際にそういうおむつが作れるかであるが、そこは企画屋の仕事ではない。
 由紀はいい企画に酔いしれていた。会社に提案し、試作品ができたらまた、健一におむつを当て、お洩らしをしてもらおうと考えていた。

続く

 
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