お披露目
(リストラだ、私は赤ちゃんになりたい)

すき焼きを食べながらも光江は上機嫌だった。和夫が自分でおむつの中にお洩らしをしたことがだいぶ赤ちゃんらしく思え和夫にいろいろ話していた。
「相談って何なの」
和夫は光江がさっき夕飯の買い物へ行く前に言っていたことが気になりとうとう聞いてみた。和夫はまた光江が何かたくらんでいるのではないかと思い、今度は先手を打とうと思っていたのだ。
「じつわね、明日、友達が来るの、でも今日みたいに赤ちゃんのままでいてくれればそれでいいから、気にしないでね」
「そう、じゃ俺は挨拶したら久しぶりに外へ行ってくるよ」
「だめよ、私の赤ちゃんを見せるという約束なんだから」
光江は友達の由紀がやはり女の子の赤ちゃんを欲しがっていたが、男の子1人でもう子供ができない体になってしまったこと、1人の男の子は小学生6年で留守番させることもできるけれども、学校へ行っている間に光江のところに遊びにくること、そして光江の女の子の赤ちゃんを見たいということになって急に明日来ることになったことを説明した。
「でも、俺は男だよ、大人だよ」
和夫は反論したが、そのことも由紀はわかってくれて、いやむしろそういう赤ちゃんなら是非、赤ちゃんの世話をしてあげたいと言ってくれたのだ。光江の友達だからというわけではないが、そういう境遇の人も多いのかなどと和夫は思った。そして由紀は是非、私の母乳、母乳は出ないからビール入りの哺乳瓶でミルクをあげたいし、おむつ交換もやってくれると言ってくれたことを和夫に説明した。
和夫は光江だからこそ、おむつもされ、ミルクも飲み、ロンパースも着てきたが、水知らぬ女性にそんな姿を見せるのは絶対いやだと言った。
「かずおちゃんは本当に恥ずかしガリやね、私よりずっと美人の由紀に甘えられるのよ、美人のおっぱいも味わえるのよ」
「そりゃ、楽しみだけど、また急所、穴はもちろん、大小便まで見られるのは嫌だよ、おむつ姿だって嫌だよ」
和夫は必死に抵抗したが、光江は全く取り合わない。むしろ、一回できたことはもうぜんぜん心配いらないからという雰囲気でいるのだ。
「どんな人か知らないけど嫌だよ」
「じゃ、こうしましょ。かずおちゃんは記憶喪失なの。いい、自分が男であることや大人であることは忘れてしまっていいのよ。赤ちゃんのようにお腹が空いたらミルクを飲んで、おしっこやうんちがしたくなったら、おむつの中にしていいの、何も喋らなくていいのよ。実は由紀にもそう話してあるの。だから何にも話さないでただ、寝ててくれればいいのよ。これなら大丈夫でしょ。」
いつもの光江のペースにはまってしまう自分をみて和夫は情けなくもあったが、赤ちゃんとしても記憶喪失という仮定なら大丈夫かと変に受け入れてしまっているのだった。もう和夫は自分がリストラから逃げ出した環境で赤ちゃんのように甘えられることが半分うれしくもあり、わくわくしてくる気持ちも沸いているのだった。

次の日の月曜日、由紀は午前11時に光江の家に来た。しばらくすると2人は赤ちゃん部屋にやってきた。和夫はもう観念して布団に横になっていた。
「ま、かわいい、赤ちゃん」
由紀は和夫のとなりに座り、和夫のベビー帽や涎掛け、ロンパースなどを触っていった。
「おむつもおむつカバーもがんばって作ったんだから」
そう言うと光江はロンパースのホックをはずし、かわいいおむつカバーを由紀に見せた。さらにおむつカバーも開け、さらにかわいいおむつまで由紀に見せるのであった。
和夫は恥ずかしくて仕方無かったが、自分は記憶喪失なのだと思いつつ、天井を見上げ続けていた。
「ほらね、あるものはあるんだけど、おむつやロンパースなんかは女の子らしいでしょ」
光江はおむつも捲り和夫の急所をあらわにした。和夫はどうしたもんかと思いつつ知らん振りをしていたが、体は正直で、急所はどんどん大きくなっていった。
“あるものはある”というのは女の子なのだが、和夫には急所があるという意味である。由紀も“ぷ”と笑いつつも随分大きくなったわね、と和夫の急所を握った。
「さ、おむつをして、ミルクをあげましょうか」
見かねた光江は和夫のおむつをしてロンパースもホックも止めてあげた。
光江は台所からビール入りの哺乳瓶を持ってきた。光江は自分の乳首を出すと、この前のウィスキーの水割りの時のように和夫の口の中に自分の乳首と哺乳瓶両方を咥えさせた。
和夫は昼間からあまり酒を飲むのは苦手なのだが、母乳まがいのビール、それもほどよく冷えていて美味かった。しかし、ビールはやはり、大きなコップに注いでごくごくといくほうがよい。しかし、そんなことも口に出して言えない。
「私にもやらせて」
由紀は言い出すと、自分のおっぱいを出してきた。由紀は体に似合わず巨乳であった。和夫は感激の声をあげたいがそれでは記憶喪失ということがばれてしまうかもしれない。心ではわくわくしながら、それを表面には出さずに由紀の乳首を咥えた。同時に由紀もビール入りの哺乳瓶を光江から取り、和夫の口の中に押し込んだ。和夫は由紀の乳首を本当のおっぱいでも飲むようにして実はビールであるが、おいしそうに飲んだ。
そろそろお昼になる時間でビールを飲んだ和夫は空腹のこともあり腹が減ってきた。お腹が“ぐー”と鳴った。
「あら、お腹が悪いのかしら、それともお腹が減ったのかしら。そう言えばもうお昼ね。私たちもお昼ご飯にしましょう」
この前の利尿剤と下剤入りの水割りとは違い、今度はビールだけである。和夫のこのお腹からの音は本当にお中が空いてきた音であった。しかし、おととい知らないうちに下剤を飲まされた和夫のお腹は変調をきたしているのも事実であった。昨日も大きな方は昼近くになって出た。そして今日はもうお昼だというのにまだ出ていないのだ。そこへビールを飲まされ和夫は便意がいつ襲ってくるか心配であった。今日小便の方は朝一番にしたが、大きい方はその後もよおしてこない。由紀がこの家へ来ること、何をされるのかなどが心配であった。その一方、光江と同世代で美人という由紀が早くこないかという期待も大きかった。
光江はいつもの大人の食事とは違い、和夫にはベビーフードを用意してきた。そして由紀はさらに和夫にビールを母乳代わりに飲ませていたのだった。
「こんなに飲ませて大丈夫かしら」
顔が少し赤くなった和夫の顔を覗きこみながら不安になった由紀は言った。
「そうね、お昼ご飯にまだ何も食べていないでビールばかりはあまりよくないわね」
由紀はビールを飲ませるのを止め食事の用意を手伝った。和夫はすきっ腹でビールを飲んだからか、心地よい空腹感を味わっていた。同時にかわいいと頭を撫でながら、和夫に母乳をあげる由紀の表情にも満足感があることを感じていた。
「さ、ベビーフードを食べましょうね」
そう言って光江は和夫を起きあがらせ、口にスプーンで運んでくる。うらやましそうにみていた由紀も交代で和夫の口にベビーフードを運んできた。和夫は正直あまり美味いとは思わなかったが、こんなもん食えるかとも言えずに黙って喉に流し込んでいた。
あまりにも急にベビーフードを食べたこと、そして食べ慣れないものを食べたということも原因なのだろうが、和夫は急に便意を覚えた。悪いときには重なるもので、さっきから飲んでいたビールが和夫の尿意も大きくしてきた。光江も由紀も和夫のそんなことには感知せず、今では自分たちのお昼ご飯とおしゃべりに夢中であった。あまりうまくないベビーフードに和夫はもう口を開けようとはしなかった。そしてまた、お腹の氾濫が起きた。もよおしている間にトイレへ行って出してしまえば何もないのに、和夫が我慢していることから和夫の腹はまた“ぐーーー”と言った。それは腹が減ったときの音とは明らかに違う。こうなるともう和夫の我慢だけでは腹は言うことを聞いてくれない。
「あら、お腹悪いのかしら。そう、今日はかずおちゃんまだうんちが出ていませんでしたね」
光江は平気でそんなことを言ってきた。由紀も興味心身になって言ってくる。
「さ、お昼はもう終わり。かずおちゃんのお尻をきれいにしてあげるわよ」
和夫は最悪のことになったと思った。午前中うんちが出なかったから、由紀が帰るまで便意は来るな、来ても絶対我慢するつもりでいたのだ。それが、由紀のきれいな乳首を咥えるうちに調子にのって哺乳瓶入りのビールを飲み過ぎた。おまけに初めてのベビーフードをたくさん食べさせられ、変調を来していたとはいえ、穏便であった和夫のお腹はとうとう、クーデターを起こした。
“ぐうー”とまた、和夫の腹は音を立てる。光江も由紀も和夫を寝かし、和夫の隣に座って和夫をあやすのであった。光江はおしゃぶりを加えさせ、由紀は和夫の頭を撫でてくる。
「早く、うんちをしちゃおうね、そうすれば楽になりますよ。」
人のことも知らずにと光江に言いたいが、和夫は記憶喪失の振りをしなければ由紀にばれてしまう。かといって美人の由紀の前でうんちをおむつの中に洩らし、由紀におむつまで取りかえられるのは嫌だ。おむつ交換は光江だけでたくさんだと思いつつも腹はどんどんクーデターを大きくして行った。
トイレに行くに行けない、由紀に見られるのは嫌だと思いつつも光江と由紀に赤ちゃんのようにあやされながら、和夫はとうとう出してしまった。うんちも小便も両方とも出してしまった。
「もう、終わったかな、かずおちゃん」
洩らしたことが分かった光江は前のようにまた焦らし始めた。光江は由紀には臭いから隣の部屋でも行っててと気を使ったが、由紀は大丈夫、光江の赤ちゃんだからといって、おむつ交換の準備を始めた。
「今日はママがふたりでおむつ交換ですよ、かずおちゃん、うれしいね」
ちっともうれしくはないが、ぞくぞくするような気持ちで和夫はおむつを交換してくれるのを待った。和夫は今回おしっこもうんちも量が多いなと感じていた。お尻から伝わる感触はだんだん冷たく、べとべとという感じが強くなってきていたが、早くおむつ交換をしてくれと口にも出して言いたかった。
新しいおむつは何処にあるの、とかシッカロールはなどと光江と由紀は会話を楽しみながらようやく準備ができた。
光江と由紀は協力しながら和夫の汚れたおむつを交換していった。うんちをウェットタオルできれいにした後、光江はいうものようにシッカロールを塗ろうとした時だった。
「ヘアー・ドライヤーはある?」
光江の動作を遮って由紀は光江に聞いた。
「あるけど何に使うの?」
光江はおむつ交換にヘアー・ドライヤーはいらないのではと思い聞いた。由紀は1人の子供を育てた本当の母であるが光江にはその経験は無い。
「今はもう秋でしょう、ウェットタオルで拭いてあげるのは赤ちゃんにも気持ちいいと思うの、でもね、秋だと、少しあの水分で体が冷えるのよ。真夏ならこのままシッカロールでもいいんだけども、秋だから、少し冷えたお尻をヘア・ドライヤで乾かしてあげるのよ」
「へえ、いい事聞いた。やってあげましょう、ヘア・ドライヤで乾かしましょう」
光江も賛成した。
由紀はヘア・ドライヤで和夫の急所、肛門、お尻とくまなく乾かしていった。和夫は今までに無い感覚で下半身がホンノリ暖かくなっていく感じに恍惚となっていった。
「気持ち良さそうでしょう」
光江は和夫の顔がやさしく穏やかでうっとりとしていることに気づき、由紀の手からヘア・ドライアを取って自分でもやり始めた。
「さすが、ママさんをやってきた人は違うわね、これからもいろいろ教えてね」
和夫は非常に気持ちよかったが、由紀がまたまたちょくちょく来るのかと思うと憂鬱にもなるが、むしろ今回のようなヘア・ドライヤで乾かすことなどをもっと教えてくれるのであればいつでも来て欲しいとも思ったが、それを口に出しては言えない。
和夫の下半身も乾き暖かくなった頃、由紀がシッカロールをこれでもかと和夫の急所やお尻に塗ってきた。まるで、赤ちゃんのおむつ交換を楽しむと同時に大人の男の急所をもて遊ぶようにした。
「今日は一杯出たわね、新しいおむつはこれでいいかな」
光江と由紀は選んできたおむつとおむつカバーを和夫にあてがい、満足そうに言った。
「後で、お散歩に行くから、女の子の洋服を着ましょうね」
そう言うとおむつを当てた後、光江と由紀はやはり選んできた女児服を和夫に着させた。和夫は恥ずかしく仕方なかったが、こうして黙っているのが一番だと思い、二人のママの言うが為すままにしていたが、和夫は本当はもっと声を出して甘えたいんだと思っていた。しかし、そんなことができるわけも無い。しばらくはかわいい二人の赤ちゃんに徹っしようと思った。
しばらくして、昨日と同じように、しかし今度は3人で散歩に出た。由紀はお昼をご馳走になったからそろそろ帰らなければならないと言っていたのが、和夫には聞こえており、直ぐに別れて家に戻れるだろうと思い素直に散歩へ連れて行かれた。
今度は2人のママに手を引かれて、心は大分はしゃいでいるのが和夫にはわかっていた。しかし、誰にも会わないで帰れるようにと祈りつつ両手を引かれている和夫でもあった。
光江はそのことを知っているかのように、駅が見えてくると、案外さっぱりそこで由紀と別れた。由紀も分かっているかのように再会を約束して別れたのだった。
「かずおちゃん、今日はありがとう、いい赤ちゃんでいてくれて」
和夫は自分が本当に赤ちゃんのようになってしまったことを心よく思っていた。光江の前で赤ちゃんように扱われたことだけでなく、由紀という見ず知らずの人の前でおむつを汚し、そのおむつまで交換させられ、由紀の乳首を心ゆくまで咥え、やさしい言葉をかけられ、和夫は夢みごこちであった。リストラのことなど忘れ、このまま赤ちゃんでいたい、本当に甘えつづけていたい。和夫はそう思いつつも、不安にも駆られる。昨日もそうであったが、今日もおむつをして女の子のようにミニスカートを履いて外へ出た。真正面から誰かにに会って話しをするということはなかったが、気づかれないうちに誰かに見られているかもしれない。こんな男の大人がおむつをしてミニスカートを履いて散歩している。もし、見られていたらどうしようかと思った。しかし、もう少なからず第3者の由紀にはおむつ交換までされてしまった。散歩の途中でも誰かに見られているだろう。そう考えると、もう誰に見られても怖くないという開きなおった考えも沸いてきていた。
和夫はリストラのことを忘れ、赤ちゃんでいたい、このまま甘え続けたいという本音がだんだん大きくなっている自分を感じていた。
(終わり)
 

 
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