赤ちゃん部屋

(リストラだ、私は赤ちゃんになりたい)

家に帰り、和夫の部屋に入ると光江は言った。
「かずおちゃん、おむつを新しいのと交換しましょう」
「どうして、洩らしてもいないのに。普通の下着だって丸1日はけば着替えるけど、風呂に入った後でいいよ」
いつのまにかおむつをつけることが当たり前のような会話になってきていた。
「でも赤ちゃんのようにおむつ交換をしてあげたいのよ」
「いやだ」
光江はがっかりしたが、今日買ってきた袋を楽しそうに開け、整理を始めた。
「かずおちゃん、このがらがらを天井からつけてくれる。丁度このあたりがいいかしらね」
「そういうことだったら、やってあげるよ」
和夫ががらがらを付けている間に光江はおむつカバーやロンパースに不足していたものを付けていた。
「終わったよ」
和夫は言うと同時にがらがらを回転させ始めた。
「あらー、かわいいわね、憧れだったのよ、それが終わったらね、かずおちゃんの整理タンスの中身を整理してくれる。私も見せてもらったんだけど、穴のあいたものとか、破けてるか、もう古くなって擦り切れているものもあったわよ。私が全部整理してもいいんだけど、それではいやでしょ」
和夫はこの2年位下着を含めて衣服には金をかけていない。辞めた会社では決して多くない給料とリストラの雰囲気の中、なるべく節約をしようとがんばってきたのだ。
「そうだね、ここずっと下着もなにも衣服類はほとんど買っていないからね、景気よく古いものは捨てよう」
「そうよ、そしたらおむつにおむつカバーと女児服を私が入れておいてあげるから、そして今日買ったベビーダンスが届いたら、この整理タンスも捨てましょうね。今日、ベビータンスと入れ替えに古いタンスを持って行ってもらうように手配しましたから」
和夫はだんだん光江のペースにはまりつつある自分を思っていたが、赤ちゃんとして扱われつつあることに安堵感が少し出てきていた。和夫の部屋というより、天井からがらがらがぶら下がり、整理ダンスがベビーダンスに置き変わる。こうすると本当に赤ちゃん部屋のような雰囲気が出てきそうだった。
「本当は赤ちゃんらしいカーテンや布団やいろいろ揃えたいのだけれど少しずつやっていきましょうね」
光江はせっせとおむつカバーとロンパースを完成させようとがんばっていた。和夫はそれを見てみぬ振りをして、テレビを見始めた。しばらくして光江が言った。
「さ、完成したわ、ちょっとあててみて」
和夫はかわいらしいおむつカバーとロンパースに目を奪われたが、テレビを見つづけた。
光江は和夫の体に当ててみて1人で丁度いいと思うとうなづいていた。光江はそのまま、風呂と夕飯の支度をし始めた。光江がいなくなった部屋でそのおむつカバーとおむつ、そしてロンパースを手にとってこれを俺が着るのかと思い、不安、期待、羞恥というような気持ちが入り混じっていた。
「お風呂入りましたよ」
光江の声が聞こえてきた。和夫は今日もあちこち歩いた疲れと汗を一杯かいていたので、すぐに風呂に入った。
光江はそれを見届けると、脱衣場へ行き、和夫が今まで身につけていた紙おむつを捨て、ズボンとシャツは洗濯機に放り込み、夕飯の支度を続けた。
「俺の着ていたものは」
和夫が風呂の脱衣所からどなった。光江はすぐにバスタオルをもってかけつけた。
「ごめんなさい、さっき話したように新しい紙おむつと思ったんだけど、私のお手製の布おむつとおむつカバーが完成したでしょう。今日からはあれにしましょう」
そういって、光江は和夫の体をバスタオルで拭いてあげ、和夫の手を取って赤ちゃん部屋へ連れていった。
「今、準備しますからね、布おむつはこれにして、カバーはこれね、さ、今度は紙おむつではなく布おむつですよ。肌さわりがいいわよ、はい、ここにおすわりして」
光江はおむつカバーの上におむつを置くと和夫に言った。
和夫は紙おむつならまだしも、布おむつにはまだ抵抗感があった。和夫がだまって躊躇していると、光江はさらに言った。
「はい、私のかわいい赤ちゃんのかずおちゃん、おむつですよ、ここに座りましょうね」
そう言って、和夫の手を力一杯引き和夫を座らせた。光江は手際良く和夫の急所、肛門、お尻などをシッカロールで真っ白にし、おむつとおむつカバーを和夫にあてるとカバーを閉じ、満足そうに言った。
「私のお手製のおむつとカバーの付けごこちはいかがですか?かわいい、丁度寸法も合っているし、良く似合いますよ、かずおちゃん、私の赤ちゃん」
赤ちゃん部屋でお手製のおむつに身を包んだ和夫は、天井で動くがらがらを見ながら髣髴としていた。そしてやはりお手製のロンパースを着させてもらい、和夫はぼーとした。
「さ、夕飯の前にミルクね、今日は母乳だけでいいわ。そういうと、光江は前と同じようにブラウスのボタンをはずし、右側のブラジャだけをあげて乳首をだした。ここに横になって飲みなさい」
和夫は前よりまた一段と興奮し、赤ちゃんの格好で光江の乳首を必死に咥えた。光江の乳首から乳はでない。光江は和夫にお手製のベビー服を着させ、母乳を飲ませるという行為に酔っていた。
「もういいだろ、ミルクは出ないんだから。俺は腹が減ったよ」
和夫はしばらくしてこう言い、和夫はそのままの格好で夕飯を済ませた。布おむつに
おむつカバー、そしてロンパースを着て和夫は恥ずかしいやら、甘えたいやらいろんな気持ちが入り混じっていて、夕飯の光江の会話には生返事ばかりしていた。
光江はいろんなことを話しながら、和夫におむつの中にお洩らしさせ、光江がきれいにしてあげるにはどうしたらよいかを考えていた。
「今日はビールを飲まなかったわね、食事の後ウィスキーの水割りでも飲みますか」
和夫を赤ちゃんとして扱っておきながらこういう時は大人として扱ってくれる。和夫にはうれしいのだが、なにか変な予感もするのであった。
光江は光江で和夫を赤ちゃんにしたいのだが、たまには大人としても扱ってあげないと和夫がいつ臍をまげるのではという不安感から自然に出てくる言葉であった。しかし、今日はお手製のおむつカバーとロンパースに身を包んでくれた記念日だから、やはり赤ちゃんとしての汚れたお尻をきれいにしてあげたい、そんな気持ちが高ぶっていた。光江は大人の小便にしろ、大便にしろそれはやはり臭うし、気持ち悪いと思う。でも赤ちゃんの格好をしてくれている和夫の大小便であれば、自分がトイレで紙で拭くように抵抗なく始末をしてあげたいと思うし、臭いだろうが、やってあげる自信はあるし、むしろ是非やってあげたいのであった。
光江はそんなことを考えていたとき、食事を済ませた和夫が言った。
「少ししたらさっき言ってくれた水割りをよろしく」
「はい」
まだ、食事をしていた光江は返事をした。食事後、少しテレビをみていた光江は思いついたように言い残して台所へ行った。
「水割り準備してくるわね」
しばらくして、戻ってきた光江は食器をかたづけ、それと入れ替えにウィスキーの瓶と氷、そしてグラスに水を持ってきた。
「今、作りますからちょっと待って」
台所から戻ってきた光江は哺乳瓶を持っていた。そして哺乳瓶の中身はミルクではないことはすぐわかった。
「かずおちゃん、ミルク飲みましょうね」
「何、それ、何が入っているの」
一目見てミルクではないとわかった和夫は聞いた。光江は今までのように和夫を膝枕にし、和夫の口に哺乳瓶を咥えさせた。和夫は一口吸ってすぐ、水割りだと分かった。
「どう、今日のミルクはおいしいでしょう」
しばらく哺乳瓶を吸っていた和夫は顔を縦にふりながら、3分の1くらいを一気に飲んだ。
光江はいい子、いい子と思いながら哺乳瓶を頬張る和夫の頭をなでてやった。
「そのまま飲んでいて」
光江はそう言い赤ちゃん部屋へ行った。和夫は一人で天井を見ながら哺乳瓶を吸った。
戻ってきた光江の手には涎掛けとレースがたっぷりついた帽子があった。
「この涎掛けと帽子もママが作りましたよ、さ、涎掛けをして、お帽子をかぶって、ま、よく似合うし、かわいいわ」
和夫はますます赤ちゃんになったような気分になり哺乳瓶の水割りもほとんど飲みほしてしまった。そしてすこしウィスキーのせいですこし酔ったのか顔も赤くなっていった。
「ママ、お代わり」
「ま、大丈夫そんなに急に飲んでしまって」
事実、和夫は酒にはそんなに強くはない。強くはないが、赤ちゃん気分で飲んだ水割りは美味く感じられた。哺乳瓶の容量がどのくらいあるのか和夫は知らないが、いつもよりハイペースで飲んでいたことは確かだった。赤ちゃん部屋でおいしいと感じながら哺乳瓶を咥えた、そして天井にはがらがらがあり、光江の赤ちゃんをあやす言葉がうれしかった。
「今、お代わりを作りますね、それまではこのおしゃぶりを舐めていてね」
和夫は少し急に飲みすぎて酔ったかなと思いつつおしゃぶりを舐めていた。
 

 
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