女友達

月曜日の朝、芳江は栃木の田舎に帰る準備をしていたので和也の女の子の身だしなみは恵子がしていた。芳江はとは違い恵子にはまだ若いセンスがある。恵子の古着の中から洋服を選ぶと和也はまたいつもと違うかわいい女の子の姿になっていく。芳江は朝から布おむつを当てた週末だったが、恵子はミナからもらったパンツ式の紙おむつを穿かせていく。恵子は自分の出かける準備もあるので、和也の支度が出来ると自分の出かける支度もする。和也はその隙にトイレに行き、大小の用を足す。昨日の夜のおむつへの大のお漏らしを思い出すとトイレの偉大さを感じる。
3人で朝食を食べ終わると芳江は恵子と和也を送り出した後、田舎に帰って行った。

月曜日の昼からの大学の授業は一般教養の哲学だった。近じか試験があるらしいという情報から減ってきた生徒の数は少し増えたように思われる。昼からの授業は眠いがいつも通りノートにポイントを書きながらようやく授業が終わった。
「すいません、あなたノートずっと取っています?」
「ええ、教授の言葉のポイントだけ書いてます」
「私、瑠奈、よろしく。ノートをコピーさせてもらえないかしら」
「三村小百合です。いいですよ」
入学してからまだ約2カ月も経っていない和也の哲学のノートはまだ数ページしか書かれていない。瑠奈は大学内の生協でコピーした後、大学の図書館の隣にあるカフェに誘う。和也は少しずつお漏らしをしている紙おむつを家に帰って替えたかったが、無碍にも断れない。
「コピーのお礼です。コーヒー飲みましょう」
瑠奈はどちらかというとボーイッシュな女性である。か弱いように見えた和也なら気軽にノートをコピーさせてくれると思った。そして瑠奈は和也に何か違うものを感じていた。和也は見かけ上、確かに女の子に見えるが、瑠奈の直感と呼ぶものが何か違うものを感じていた。二人は出身の話や今の住んでいる場所など自己紹介的な話をし、携帯の番号を交換し合った。
「じゃ、私はそろそろ帰ります」
和也は家に帰っておむつを替えたいという気持ちが強くなってきた。しかし瑠奈はいろいろなことを聞きたがり、ずるずると時間が立っていた。
「いいわね、私なんか、家に帰っても寝たきりい爺ちゃんしかいないからさ。それで介護師さんが夕方に帰ってしまうと、後の面倒を見なきゃいけないし。寝たきりだからおむつなのよ。お漏らしすると、瑠奈、替えてくれって。仕方ないけどね」
和也はおむつと聞いてギクッとするが、寝たきりの老人なら仕方ないと思う。それに比べると昼間からおむつを当てて大学に来ている自分は何だろうと自己嫌悪に落ちいるが、今は瑠奈の愚痴を聞いてあげる。
「おむつ替えておしっこをきれいにしてあげるのに、一様あれも触るじゃない。気持ち悪いわね。特に老人だからふにゃふにゃよ」
瑠奈は思い出したくないことを面白可笑しく話す。和也はあっけらかんと男性自身のことも話す明るい性格の瑠奈に興味を持ち始めて行くがその日はそれで別れた。
が次の日も次の日も瑠奈は和也を見つけては近付いてきた。昼食を一緒に食べたりしながらお互いの理解を深めていた。
「ねえ、小百合、哲学以外のノートも取っているでしょ。それも皆コピーさせてよ」
「ええ、いいわよ」
「そうね、生協でコピーするのも高いし、小百合の家にコピーできるプリンタあるかしら?もしあれば紙もいいけどスキャンして電子にしてもらえると助かるわ」
「ええ、できるわよ」
「家には大学で買わされたノーパソがあるけど家にプリンタはないのよ」
和也は話の成り行き上、瑠奈が家に遊びにくることになることを想像しながらも、特に問題はないと思うと、和也の家に遊びにくることに合意する。芳江は田舎に帰ってから連絡がないし、恵子は夕飯の時間に近くならないと帰ってこない。大学の帰りに瑠奈を家に招いても問題ないと思う。二人は和也のマンションに向かう。
和也はマンションのエントランスを見渡す。今日、ミナは居ないようだ。新しい友達の前で、「おむつのお姉ちゃん」と呼ばれてまたスカートを捲られるのはこりごりだ。瑠奈と話をしながらミナが居ないことでほっとする。
エレベータで20階に上がりマンションの中に入ると、瑠奈が急にトイレに行きたいというので、奥にある場所を教えると和也は居間のソファに座る。本当は和也が一番にトイレに入り、溜まっているおしっこを出してすっきりしたいが今日は瑠奈がお客さんのため、我慢する。ほどなくすると瑠奈が戻ってきた。
「小百合、あのおむつは誰の?」
「え、あ、あれは婆ちゃんのおむつよ」
瑠奈はトイレの真向かいにある風呂の脱衣場に干してあった布おむつと赤いシルクのおむつカバーを見てしまっていた。前の日曜日の夜に大きい方まで漏らしてしまったときのおむつだ。芳江は洗濯して家の中に干したのはいいが、そのまま田舎に帰っていた。恵子は芳江が居ないのをこれ幸いとそのままにしておいたのだ。和也もこの数日毎日のように見てはいたが、片づけようとは思わなかった。それを瑠奈に見られてしまった。
「この前の日曜日にここに遊びに来て、洗濯して干したまま帰ったのよ。乾いたら宅急便で送ってあげようとしててそのままになってしまったわ」
「へえ、お婆さんおいくつ?」
「70歳を超えたかな?」
「それでもうおむつ当ててるの?まさかお母さんじゃないわよね」
「お婆ちゃんよ」
「でも、お婆ちゃんにしては真っ赤なシルクにレースの白い花を散りばめたおむつカバーは派手だし、それに布おむつにもレースが付いてたわよ。珍しいわね」
「婆ちゃんは派手づきなのよ。寝た切りではないけどおしっこが少し漏れちゃうみたい」
瑠奈は和也が何かを隠していると言わんばかりの顔付きで和也を見るが、和也もしらを切り続ける。瑠奈は和也の家族構成からして姉の恵子のことも疑うが、そんなバカなと自分で否定する。
和也は話題を変えようとして自分のノートを持ってくるため部屋に行こうとする。すると瑠奈も部屋が見たいと付いて来る。和也の部屋は芳江と恵子が片づけてくれているので大丈夫と思う。和也は部屋に入るとノートを取り出し、簡単に部屋を説明するとまた居間に戻ろうとする。
初めての訪問なので、瑠奈はあまり強引に勝手にクローゼットを開けたりしては失礼と思い、和也に従って居間に戻ってソファに座る。
「コーヒー入れてくるから。ちょっとノートを見ていて。必要ならみんなコピーしてもいいわよ」
コーヒーを飲みながら雑談をして必要なノートのコピーを取ると、和也は瑠奈から預かったUSBメモリに入れて上げた。USBメモリは大学でも重宝して皆使用していた。
「小百合、私、今日買い物当番だったこと忘れてた。今日は帰るね。今度は部屋の中もゆっくり見せてね」
「ええ、いいわよ」
和也は内心困ったが、変に断ることはできない。瑠奈は母親と順番に夕飯の買い物をしていた。今日がその日ということを急に思いだすと瑠奈は足早に和也のマンションを出て行った。だが、ますます和也には何かあるとますます疑問が大きくなっていたのだった。
和也は、瑠奈に見られてしまった干してある布おむつと赤いおむつカバーを片づける。珍しく丁寧に畳んでクローゼットの中にある整理タンスの中に仕舞う。だが、クローゼットを開ければミナのママがくれた紙おむつの大きなパッケージが2つもある。これらを瑠奈に見られたら大変だと思いながらも片づける場所がなく仕方なくそのままにする。
「もう、家には来ないだろう。もし来る時は芳江の部屋に置いてやれ、と考えるとようやくトイレに向かいすっきりとする。
しばらくすると恵子が帰ってくる。やはり帰ってくるなりトイレに行くと干してあったおむつのことを聞いて来る。
「あら、片づけてくれたの。どういう風の拭きまわし?」
「いや、今日、友達が遊びにきて見られちゃったから、婆ちゃんのおむつって言った。彼女の家には寝た切り爺さんが居て毎日紙おむつで、よく交換してあげるんだって」
「今、彼女って言った?」
「ああ」
「へえ、女友達ができて家に連れてきたということ?それで和也のあのおむつの見せむつを見られたということ。へえ、どんな人だか会ってみたいな」
「もう来ないよ。大学のノートをコピーしたかっただけだろう」
「和也、じゃそのお気に入りの赤いシルクの布おむつを当てましょう。家では布おむつという約束でしょ」
和也はもうあまり逆らわず恵子におむつを替えもらう。芳江は細かいことまで赤ちゃんらしくしなさいとうるさいが、恵子は最小限のことで終わってくれる。だから和也は素直に成れた。

次の日も大学の授業が始まるといつの間にか瑠奈は和也の隣の席に座るようになっていた。瑠奈は和也に何か違う感覚を持っていたし、和也の家のあのおむつの秘密にも興味があった。休み時間になるともっとゆっくりしたいから土曜日にまた遊びに行くと言う。土曜日は恵子もいるし、何を言われるかわからないので、和也は用事があるから断り続けた。
金曜日も瑠奈はしつこく明日の土曜に遊びに行くと言ってきた。和也は土曜日より、今日の授業が終わった後ならいい、と返事をしてしまった。クローゼットの中にある紙おむつは親戚の女の子が遊びに来たとき用に紙おむつと言えばいい。恵子と会って何を言われるかは分からないより、今日の方がいいと判断していた。
「今日は、夕飯の買い物をしなくていい日なの。でも、夕飯の時間までには帰るから心配しないでね」
二人は和也のマンションに向かい、玄関を開けようとする。しかし恵子には携帯で電話があったのだが、芳江は今日移動し、ついさっきマンションに入ったばかりだった。家の中を掃除して、和也のために作ったスカート付きのロンパースや涎かけの準備を始めようとしていたのだった。
「どうぞ」
和也と瑠奈がマンションに入ると、物音を聞いた芳江が奥から出てきた。ちょうど、居間で3人は顔を合わせることになった。
「あ、お邪魔します。木村瑠奈と言います。小百合さんとは大学で知り合いまして」
和也はさあ大変という顔もできずに、どうしたものかと立ちすくんでいる。瑠奈はボーイッシュではあるが、初対面の芳江には丁寧に挨拶をする。
「いらっしゃい、小百合の友達ね。小百合の母親です。今日田舎から出てきまして。さ、コーヒーでも飲みましょうね」
和也は瑠奈を自分の部屋へ誘導させようと思うが芳江の話し合い手になるほうが早かった。コーヒーを飲みながら一通りの挨拶が済むと、和也はもう一度機会を伺うが本当の女同志の話は始まると長い。それでも和也のおむつの話や和也は本当は男であることなどへの話題にはならないので安心はしていた。しかし芳江がいつそういう話にきっかけを作るのではないかと冷や冷やする。だが、そのきっかけを作ったのは瑠奈だった。
「あの、お婆ちゃんは元気ですか?」
瑠奈のその質問にまずいと思いつつも何と話していいか分からない間に芳江は返答をしていく。
「家にはお婆ちゃんはいませんけど。もう逝ってから何年になるかしらね」
瑠奈の疑問は当たっていた。和也の家に前に来た時のあの布おむつは誰が当てていたのだろう。お婆ちゃん用にしてはあまりに派手だったからだ。
「でも、先週の日曜日にこちらに居らしてたのでしょう?」
「いいえ、死んでいる人は来ませんよ」
「じゃ、あの布おむつは誰が当てていたのですか?」
和也はとうとうその話題になったかと苦虫を潰したような顔付きになる。和也は瑠奈の方を向くと、急いで早口で言う。
「瑠奈さん、部屋を見せてあげるわよ。行きましょう」
精一杯の女の子言葉を使って瑠奈を部屋に誘うが、瑠奈と芳江の話は余計に深まってしまう。瑠奈はあの布おむつを当てていたのは誰なのだろうという疑問がある。お婆ちゃんは生きていないとすると、お母さんかな、でもあの派手なおむつカバーから連想するとまだ会ったことのないお姉さん、あるいは小百合かな、この3人の内の誰かが当てていることになる。
芳江はなぜ和也の友達の瑠奈が生きてもいないお婆ちゃんのことを言い出すのか不思議だった。和也が何を言ったのか、その真相を探ろうと芳江と瑠奈の会話に深まっていく。
「布おむつってどんなのかしら」
「ええ、一昨日もこちらに遊びに来させてもらったのですけど、脱衣所のところに布おむつと赤いシルクに白いレース花を飾ったきれいなおむつカバーがあったもので、小百合に聞いたらお婆ちゃんのおむつと聞きました」
「あら、あれは私が洗って干しておいたのよ。3日もそのままにしておいたの。仕方ないわね。でもあのおむつは小百合が汚したおむつよ。おしっこもウンチも漏らして汚れたおむつを洗濯して干しておいたの」
「え、小百合のおむつなの」
和也は芳江を憎みたいがもう言ってしまったことは仕方ない。どう逃げようか考えても説明する言葉がなく、和也は恥ずかしくて下を向く。瑠奈はそんな小百合を見つめるとかわいそうにと思う心が宿る。芳江は和也にそっと近づくと和也のスカートを捲った。
「わ、母さん、もうしないでよ」
「瑠奈さん、ね、見て。小百合はこのように昼間は紙おむつですけど、大学から帰ってくると布おむつに替えてあげるの」
「でも、どうしておむつを当てているんですか?」
「小百合は泌尿器科の何とかいう病気で、おしっこもうんちもお漏らししてしまうので1日中おむつを当てているの。まるで赤ちゃんのようにね」
「そうだったの、小百合、かわいそう」
「あのおむつはおしっこに加えてウンチもお漏らして交換したときのおむつよ。私がきれいに洗濯して干したの。でも乾かないうちに田舎で用があったものですからそのまま帰ってしまいまして。恵子も小百合も片づけなかったのね」
和也は恥ずかしくて何も言えないで下を向いたままだ。瑠奈は小百合の手を握ると優しい言葉をかけてあげる。
「小百合、恥ずかしがらないでいいよ。誰にも言わないから。私も家でお爺ちゃんのおむつ替えているし、仕方ないよね」
「そうよ、小百合、さ、朝から替えていないでしょ。いくら吸収性がいいと言ってももう替えなきゃね。瑠奈さん、今布おむつの準備するから交換するのを手伝ってくれる」
「はい、喜んで。布おむつの当て方を教えていただいて、お爺ちゃんにも布おむつを当ててあげようかしら」
「あら、いい考えね。布おむつのほうが柔らかくていいわよ。吸収性は紙おむつに敵わないけどね」
和也は自分の部屋に逃げ込みたい気持ちだ。このまま瑠奈におむつ替えをされたら、和也の大事な男性自身を見られてしまう。いくら折り曲げてあってもそこには存在するし、逆に女性にあるはずのものがなければ瑠奈はどう思うだろう。
瑠奈は布おむつの謎が解けてほっとしていた。小百合がおむつを当ててるのはショックだったが、病気では仕方ない。それは素直に受け入れられる。でもまだ小百合に感じる普通の女の子とは違う何かが分からなかった。
「私、自分で替えてくる」
「小百合、だめよ。布おむつに交換しなきゃ」
立ち上がって居間を立ち去ろうとする和也を芳江は押さえつけるし、瑠奈も手を握って和也を留める。和也は瑠奈の女性の柔らかい感触の手を感じた。やはり女性の肌の感覚は違う。和也もしっかりと瑠奈の手を握り返すと瑠奈も力を入れて握り返す。
「小百合、大丈夫だから交換してあげる」
「だって、母さん、だめよ」
和也は女の子らしくやさしく拒否する。芳江はこういう場合は厳しく怒ってはいけないと判断し、おむつ替えを拒む赤ちゃんをアヤスように優しく接する。
「小百合、今日はどうしたの?いつもは柔らかい布おむつを喜んで当てるのにどうしたのかな?」
和也は喜んで布おむつを当てていた記憶はないが、優しい芳江の言葉に素直になる。でも和也が男であることを自分で言う勇気はない。
「そう、分かったわ。瑠奈さん、小百合は男の子なの。知ってた?」
「え、男の子ですか?」
目を丸くして驚いた瑠奈であったが、瑠奈は小百合に感じていた何かの違いが分かっですっきりする。
「やっぱり、小百合には何か違うものを感じていたのよね。この手を握った感触も女性同士では感じないものを感じたし。これで小百合とも親密になれるわ」
「じゃ、おむつ交換するわよ」
芳江は布おむつの準備を始める。和也の部屋から持ってきたのは、イチゴの小さなアップリケがたくさん付いているおむつカバーと葉っぱをイメージする緑色のレースが付いた布おむつだった。
「まあ、かわいいおむつカバーですね」
瑠奈は初めてみる見せむつに感動する。芳江はオムツカバーの真っ赤なイチゴと葉っぱをイメージする緑色の布おむつが見せむつであることを誇らしげに説明していく。
「なるほど、見せむつもいいですね」
「じゃ、小百合、じゃなくて、和也おむつ替えるわよ。この子の名前は和也って言うの」
「和也さん、じゃ、おむつ替えを手伝うわね」
「いや、だめ」
「和也さん、和也って呼んでもいいかしら。瑠奈の家ではお爺ちゃんのおむつ替えをいつもやっていて慣れているから大丈夫よ。恥ずかしがらないで、大丈夫だから」
「そうよ、和也、瑠奈さんに布おむつの当て方を教えて上げましょう。お爺様に布おむつを当てるための勉強なのだから。協力できるわよね」
和也の心配は取り払われたが、同世代の女性である瑠奈に和也の股間を見せるのはやっぱり恥ずかしい。でもそういう経験を日頃しているという瑠奈の生活であれば大丈夫かもしれない。和也はおむつを当てていたこと、そして小百合ではなく和也という男であることを瑠奈に知られてしまったことで肩の荷が下りたようにほっとする。だが、恥ずかしさはやはり変わらない。
「和也、和也がおむつを当てていること、本当は男の子のことは大学でも黙っていてあげるから大丈夫よ。本当よ。だから安心しておむつ交換しましょうね」
和也はようやく拒絶を示す強張っていた態度から少し安心した態度になる。下を向いていた顔を上げ、力が入っていた肩を下ろす。
「瑠奈さん、まずおむつカバーをこうして広げるでしょ。それから一番外側にこの緑色のレースが付いた見せむつを広げてね。それから普通の布おむつを重ねていくの。量が多い場合には布おむつを多めにね」
芳江は和也の足元に見せむつの用意を始めていた。初めて見る見せむつを瑠奈は真剣な表情で見つめていた。
「和也ちゃん、もう大丈夫ね。始めるね」
芳江は優しく言うと、和也を立たせるとスカートを捲り上げる。すかさず瑠奈は和也の前に移動していく。瑠奈は要領のいい子だ。芳江がスカートを捲れば次は和也のパンツ式の紙おむつを脱がすはずだ。
「そう、瑠奈さん、和也の紙おむつを脱がしてくれる」
「はい、お手伝いしますね」
瑠奈は和也の紙おむつを下へズラシテ外していく。和也は目を閉じ、下を向いている。既に拒否する気持ちはなくなっていた。紙おむつを足元まで下ろし、和也の足首を持ち上げ紙おむつを片方ずつ外していくと、既におしっこを漏らしている紙おむつから臭いがしてくる。瑠奈はその臭いは気にせず、和也の股間に目をやる。だが、そこには男の子にあるべきものがない。瑠奈は陰毛もない和也の股間を見ると、3度目のショックに股間を見つめてしまう。
「和也、男の子って言ってたけど」
「あら、びっくりさせたわね。折りたたんであるから大丈夫。ちゃんとおちんちんはあるわよ」
芳江は和也を見せむつの上に横に寝かせる。和也の股を少し広げるとまずはそのままの状態で赤ちゃん用のお尻拭きで股の奥まできれいに拭いていく。和也の足を上げ、お尻の方まできれいにすると、その股の部分に降り曲がって横たわっているおちんちんを指さす。
「ほら、ここにあるでしょう」
瑠奈は初めてみる光景に言葉が出ないで和也の股間を凝視している。芳江はおちんちんの先端に留めてあるものを外すとおちんちんは元の状態に返っていく。留めていたレースを替えたところで瑠奈がようやく声が出た。
「あ、ガーダーベルトに繋がっているのですか。ちっとも気がつかなかったわ、なるほどね」
そう言いながら今度は瑠奈がもう一度和也の股間をきれいにしていく。元に戻ったおちんちんの後はまだおしっこが付いている。おちんちんが降り曲がっていた股の部分とおちんちん自身をお尻拭きできれいにしていく。
「きれいになったわね。じゃ、もう一度女の子状態にしますよ」
芳江は慣れた手つきでおちんちんの先端に新しいテープを入れ混むと、それにきれいなレースを留め、後に引っ張っていく。そしてそのレースの2つの先端をガーダーベルトから延びている留め具と固定する。次に芳江は布おむつをお尻から股にかけて引っ張り布おむつを当てていく。縦方向のおむつに腰の部分を覆う横側のおむつを当て、そしておむつカバーを当てていく。おむつカバーの留め具で固定すると、太ももから出ている見せむつをきれいに調整する。
「ほら、できた。和也、瑠奈さんに他のおむつカバーも見せてあげたら」
「他にもあるのですか、和也、見せてよ」
和也はしぶしぶ瑠奈と自分の部屋へ歩いていく。芳江は夕飯の準備にかかり始めた。

「ただ今」
恵子が帰ってきた。見知らぬ靴があるのを疑問に思いつつキッチンに行くと芳江の作った美味しそうな夕飯の匂いがしてくる。
「母さん、誰かお客さんが来てるの?」
「そうよ、和也の女の子の友達よ」
「へえ、女の子の友達?」
芳江は今日の出来事を全部恵子に説明し始めた。和也がおむつを当てていること、本当は男の子であること、そして男性自身を折り曲げて女の子状態にしていることを。そして瑠奈の手を借りて和也のおむつ替えをしたことを説明した。話に夢中になっていた二人であったが、恵子はお腹がへったと着替えにいく。
「和也、開けるわよ」
芳江は和也の部屋に行くとおむつカバーを見ていた瑠奈に声をかける。
「瑠奈さん、夕飯食べていってくださいね」
「いえ、すいません。もう帰りますから」
「そんな遠慮しないで。今日は大丈夫なのでしょ。夕飯食べていってください。用意しましたから」
「はい、では、遠慮なくいただきます」
4人かけのテーブルが久しぶりに一杯になった。一杯になったのはマンションを買って後に和也の父が来たとき以来である。たわいのない話で女性3人は盛り上がっている。和也の友達であった瑠奈は芳江と恵子とも仲良く女3人の会話を楽しんでいた。
夕飯を食べ終わる頃になると瑠奈はもうひとつの疑問があることに気付く。和也がおむつを当てていたこと、その理由は病気と聞いた。2つ目の和也が女の子ではなく男の子であることを聞いた時には大きなショックだった。潜入感からやはり和也はューハーフということなのだろうか。それにしては私は女の子、というようなニューハーフのような感じがなかったからだ。
「和也はさ、ニューハーフなの?」
「いえ、違うわ」
和也にまた嫌な予感が走る。おむつを当てていること、本当は男であること、でも男性自身を折り曲げて女の子状態になっていること、それぞれに理由があってこうなってしまっているが、その理由については触れられたくない。
「瑠奈さん、和也はね私の下着を着ようとしたのよ。まるで痴漢なの」
「姉さん、止めてよ」
「いいじゃないの。おむつを当てていることも、女の子状態のこともみんな瑠奈さんに知ってもらったほうがいいわ」
「そうね、そのほうがいいと思うわ」
「和也はね、私が居ない時に素っ裸になって私の下着を着ようとしたの。それをたまたま現行犯逮捕よ。本当にびっくりしたけど」
「姉さん、もう止めてよ」
「いいじゃないの。それで話をしたらね。和也は女の子のようになりたいんだって。あの性認識性障害よ」
「これも病気だから仕方ないと思って女の子状態にしてあげて、身なりも女の子にしてあげているのよ」
「あら、和也大変なのね。泌尿器科の病気でおむつは当てなくちゃいけないし、性認識性障害で女の子になるし、大変ね」
和也は言われたくないことを姉に言われ、しょぼくれてしまう。だが、そんな和也に恵子が追いうちをかけて事実を話してしまう。
「泌尿器科の病気というのはうそよ。かわいそうだから病気を理由にしておいたけど、和也は初めて女の子の洋服を着た時に女子トイレに入れなくてね。そして限界になったときにようやく女子トイレに入ったのだけど、幼稚園児とぶつかりそうになっておしっこをお漏らししちゃったのよね。その幼稚園児の前でね。それでその幼稚園児の女の子におむつを当てればいいのよ、泣かないのよ。私はもうおむつを卒業したけど、お姉ちゃんはおむつを当てましょうね、って言われてね。それからずっとおむつよね、和也」
和也は居ても立ってもいられなくなりテーブルを離れようとする。しかし芳江が優しく和也を留めさせる。芳江は和也の手を握って椅子に座らせようとする。
「大丈夫よ、みんな和也を可愛がってくれているのよ。さ、座って。お土産を持ってきているから」
お土産という言葉はいくつになってもわくわくする。子供の頃は素直にうれしさの感情を表現するが、大人になるにつれてストレートには出せなくなってくる。しかし心ではわくわくするものだし、素直な人はその感情を表現する。和也もそのお土産という言葉に心が躍る。だが、芳江が席を立ち近くにあった袋の中身を出すとそれはベビー服だった。
「さ、ようやくベビー服が出来たわよ。おむつに哺乳瓶におしゃぶりはもう体験済みだけどベビー服は今日がデビューよ。さ、着せてあげるからこっちへいらっしゃい」
3人は居間へと移動する。芳江は和也をソファの前に立たせるとスカートを脱がし、ブラウスを脱がしていく。和也はブラジャーと見せむつ、それにハイソックスだけの姿になる。
「ここで記念写真かな」
その言葉とほぼ同時に瑠奈は携帯を手に持ってカメラモードにしていく。恵子もバッグから携帯を取り出すと撮影の準備にかかる。
「赤ちゃんだけどブラジャーはそのままでいいかしら」
「そうね、女の子だからそのままにしましょう」
瑠奈と恵子は携帯のカメラでシャッターを切り続けていく。カシャという音と小さなフラッシュの光が何度も和也の目に入る。芳江は頃合いを見てかわいいTシャツを取り出して和也に着させていく。
「ロンパース1枚では寒いからこれも着ましょうね」
白地に赤いうさぎがプリントされているTシャツはいかにも女児に見える。芳江は次に作ってきたスカート付きの真っ赤なロンパースを着させていく。股の部分のホックを外して背中を留めるホックも外す。ロンパースの背中の部分から和也の足を通させる。ロンパースを和也の肩まで上げると背中のホックを留めていく。
「和也、ここに横になりなさい」
和也は、いやいやの表情をしながらも女性3人に促されて横になっていく。芳江は和也の足を開かせると股の部分のホックを留めていく。
「ロンパースならこの股のところにホックを外せばおむつ替えがすぐできるのですね」
「そうよ、この股の部分のホックの下にはおむつを当ててます、というのが分かって本当に赤ちゃんらしいわ。サイズもぴったりね。恵子、食事の後はミルクにしましょう。哺乳瓶にミルクを作ってくれる」
「ええ、いいわ」
恵子はキッチンへミルクを作りに行く。瑠奈はおむつだけではなく、哺乳瓶でミルクも飲むのかと思うとびっくりする。お漏らしのためのおむつだけかと思ったら、洋服や食事も赤ちゃんになっている和也を見ると微笑ましく見える。
「和也、次は涎かけよ。さ、オッキして」
芳江は和也の首に涎かけをあてがい、留めるための紐を首に回す。芳江は和也の後側に回り涎かけを留める。和也は涎かけをされると歯医者を思い出す。子供の頃、歯医者に行くと椅子に座って病状を聞かれ治療に入るが、治療の前には看護婦さんが決まって涎かけを付けてくれる。これはこどもでも大人でも同じだ。しかし、赤ちゃんの涎かけとは違い、それはほとんど紙で出来ていたし、看護婦さんもそれを涎かけとは言わない。失礼します、とか言われて涎かけをされると赤ちゃんのような気持ちになったことを思いだす。
だが、今芳江が付けてくれた涎かけは白地にかわいい花の刺繍が施されている。赤いロンパースに白い涎かけの自分の姿を見るとなんとも恥ずかしい。
「和也、次はベビー帽よ」
芳江はピンクのベビー帽を取り出すと和也の頭に被せる。頭からピンク、白い涎かけ、赤いロンパースに白いハイソックスの色合いが似合っている。瑠奈はまた携帯を手にして写真を撮っていく。
「はい、ミルクできたわよ」
恵子が哺乳瓶に入ったミルクを持ってくる。芳江は和也を膝枕にすると哺乳瓶を和也の口に近づけるが、和也はなかなか口を開けない。
「和也、ミルクですよ。赤ちゃんはミルクしか飲まないからウンチもミルクの臭いであまり臭くないないでしょ。和也もミルクをたっぷり飲めばうんちの臭さも減るわよ。だからいっぱい飲みましょうね」
「母さん、トイレでするから」
芳江は仕方ないわね、という顔をしたが、和也のその一言の口を開けた瞬間に哺乳瓶の乳首を和也の口に入れ込む。
「和也、まだ分からないようね。赤ちゃんはウンチもお漏らして気持ち悪さを体験するのよ、そしてそれを何回も繰り返して経験になっていくの。そしてその経験がおむつ外しという応用へと繋がっていくの。知らず知らずの内に赤ちゃんも勉強して成長していくのよ。和也はまだ1回しかお漏らしできていないでしょ」
「そんなのいやだよ」
「いいから、母さんの言う通りにしていればいいのよ。だからまずはミルクをたくさん飲みましょうね」
素直にミルクを飲み始めた和也を瑠奈が写真に取っていくが、シャッター音が消えた。瑠奈は携帯を操作しビデオモードにした。再び和也の顔をアップにしていく。
和也は喉が渇いていたことと、瑠奈の携帯がこちらを向いているのに気付くとミルクを一揆に飲みほしていく。飲み終わると、いい子ね、と言いながら芳江はおしゃぶりを取り出す。哺乳瓶と入れ替えにおしゃぶりを咥えた和也の顔を瑠奈の携帯が追う。
「容量が一杯になりそうだわ」
瑠奈はそこで一旦携帯を止めた。芳江は和也の頭を撫でながら上機嫌だった。すると芳江はブラウスの前ボタンを開き始めた。和也は芳江が何をするのかがわかったが、今日は瑠奈が目の前にいるので2回目とはいえ恥ずかしい。
「次は母乳ね、瑠奈さん、また撮ってくれます?」
「あ、はい」
瑠奈も芳江が何をしようとしているのか想像はついたが、本当にそこまでやるのか疑問だった。が、芳江は自然に振る舞った。まるで本当の赤ちゃんを授乳する顔付きでブラジャーを上げていく。芳江は両方のブラジャーを上げると、和也のおしゃぶりを外す。
「今度はおっぱいよ」
芳江は和也の口を右側の自分の乳首に押し付ける。和也の左手を手に取ると左側の乳を撫でさせる。和也は瑠奈の前では恥ずかしかったが、芳江は構わず前回と同じように彷彿として和也に授乳する。
「お母様、大胆ですね」
「そんなこと無いわよ。和也はね幼稚園に行くまでいつも私のおっぱいを追いかけていたのよ。元々好きなのよ、ね、和也」
和也は幼いながらも物心ついてからは芳江のおっぱいを止めた記憶がある。でも、こうしておむつを当てられておっぱいの乳首を口に入れられると自然に咥えてしまい、必死に吸いこむことで羞恥心を忘れようとする。
瑠奈はその光景を見つめていて、携帯で写すことを忘れていたのに気付くとまた写真を撮っていく。恵子も釣られて携帯で写真を撮る。
「和也、女の子の赤ちゃんとしておむつを当てて、お漏らしして、ミルクも飲んだし、明日はお散歩に行きましょうか。ミナちゃんに会ってもこの短いスカート付きのロンパースなら、スカート捲りはしないでしょう。ミナちゃんに遊んでもらいましょうか?」
和也はそれを聞いて、芳江の乳房の乳首から口を離す。首を振って、いやいやをする。そのかわいい姿も瑠奈は写真にとっていく。芳江はその反応を受け入れてはいないが微笑んでいる。
「恵子、和也は赤ちゃんの嗜みはある程度は体験したけど、女の子の嗜みはどうかしら」
「そうね、下着や洋服、それに化粧は体験して大学にも通えているけどね。まだ、やっぱり女の子としては何かが違うのよね」
「恵子、私のバッグにあのピノキオで撮ったドレス姿の和也の写真があるから」
恵子は芳江のバッグを探すと中から化粧ケースに入った写真を取り出す。代わる代わるその和也の写真を見ると皆で頷く。
「そうです。私も和也は何かが違うって思ってもやもやしてました。今日おむつを当てていることや男の子が女の子状態になっていることは教えてもらいましたけど、まだ何か女の子としては違います。女の子とはいえ、大学生なのでもう女性、女としての嗜みがやっぱり感じられませんね」
「そうなのよね。このかわいいドレス姿の写真もいいけど、もっと内面から女の子にしてあげないとね」
3人の女性は皆頷くがどうすればいいかは口に出して言いにくい。考えていることは同じことだが、女性の口から言い難い。
「クラシックバレーのスカート付きのレオタードを着せてバレーを習わせたいと思うし、女性の躾教室にも通わせたいし。いろいろ考えてはいるけどそういう物とは違う何かが必要よね」
また3人に沈黙が来る。が、そこはやはり若い瑠奈が口を切った。自分が言ってもいいか判断に苦しむが、自らのおっぱいを露わにして母乳を与えることができる大胆な芳江なら話を受け入れてくれると思うと小さな声で話す。
「和也に女の子の初体験はどうでしょう」
瑠奈の言葉に芳江も恵子も頷く。それなのよ、と言いながら芳江は和也を起こすと和也を自分の部屋へ行かせた。和也が居なくなったことを確認すると、女の子の初体験をどのようにするのかをひそひそと話す。しばらくすると瑠奈はもう遅くなって来たからと帰り支度を始める。そして帰り際に和也の部屋へ入る。
「和也、今日はもう帰るね、明日もお邪魔するからね。明日は楽しみにしていてね。バイバイ」
 

大人の赤ちゃん返り
inserted by FC2 system