過去の恋人

恵子は大学卒業後、外資系の会社に就職した。それから2年後のある合コンである男性と恋に落ちた。同じ大学出身で同じ歳というところから会話が弾みつきあいが始まったのだった。3カ月後に恵子は一線を許した。頻度は多くなかったし避妊もしてくれた。そして5回目の営みの後だった。その恋人は営みが終わった後の余韻が冷めよとしたときだった。突然、布団の中でもぞもぞとし始めた。恵子はもう一度するのかしらと不安と期待の中で、出てきた言葉は想像できない言葉だった。
「女の子の股間みたいでしょう、どう」
その男は布団を捲ると自分の股間を恵子に見せる。そこには今まであった男性自身がない。恵子はびっくりしてその股間を見るが、確かに存在しないし、女の子のような割れ目も毛の中に存在して見える。
「どうしたの?」
恵子はびっくりして男の顔を覗き込む。男はすぐに種あかしを披露した。男は股を広げると折り返していた男性自身を元の位置に戻す。
「恵子、びっくりした?」
「そりゃそうよ、でもなんだそういうこと、でもそういうことが出来るの、痛くないの」
「ああ、痛くないよ」
恵子はびっくりさせるための行動なのだと思った。すぐに元に戻るようなら安心だ。でもどうしてそういうことをするのかと不思議に思う。男性は男性自身を1人で弄んでいる内にあういう風に奥に折り曲げることも普通にやるのかしら?などと思うがそこまで恵子は踏み出した会話ができない。
「恵子、手伝ってほしいのだけど」
「手伝う、何を?」
「今、見せたように女の子の股間を作るのは折り曲げればいいのだけど、固定しないとすぐに元に戻っちゃうだろ。だから固定するのを手伝ってくれる?」
「あなたは女の子のようになりたいの?」
「時々ね、でも1人でやるのは大変だから。手伝ってよ」
恵子は付き合っている体まで許した恋人にそういう趣味があるとは知らなかった。正直幻滅を感じた。もう、こんな人とは付き合いたくないと思った。恵子はどんな風にして男性自身を折り曲げて固定するのか、その方法には興味があったが、男への幻滅感から着替えを始める。男はその恵子の着替える姿を見つつも固定するための物をバッグの中から取りだして確認する。
「恵子、これだよ。固定する方法は」
男は洋服まで着替え終わった恵子を見ると、その道具を恵子に見せた。男の手の上には普通のテープのようなものがあるだけだった。男はそのテープを広げると固定の仕方を説明し始める。
「ここに小さな穴があるだろう。ここにこれを入れるだろ。そして股の奥に引っ張って二手に分かれている部分をアヌスの両脇にくっ付けるだけだよ。1人でやるのは結構難しいんだ」
恵子はその方法にイメージは湧いたが、そんなことやったことなどない。躊躇しているともう帰ろうと思う。
「一回だけでいいから頼む」
恵子は新しいことには興味が湧く方だ。頭を下げられ、恵子の手を握られて男のお願いを聞いていると、仕方ないわね、という気持ちになってくる。
「わかったわよ」
「ありがとう、じゃ、最初はね」
男は男性自身の先端を包茎のようにするために急所の皮をずらしていく。2センチ位までその皮が出てくると、それをテープの先端に空いている穴に通していく。するとテープを引っ張ってもずれないようになってくる。そして男はベッドに寝転ぶ。
「ここから頼む。このテープを股の奥に引っ張って、この二手に分かれたテープをアヌスの両端の貼り付けてほしいんだ」
男は両足を広げながら上げて手で足を押さえる。恵子は男の広げられた股の中央に移動する。そこには男性自身も男性のアヌスも丸見えの位置だ。薄黒くなった股の奥の部分は正直きれいというものではないが、目の前で明るい場所のなかで初めて見る成人男性の股だった。恵子はじっと見つめていたが、男は催促してくる。恵子は男性自身の先に繋がっているテープを取ると後に引っ張る。テープを粘着させるための薄いテープをはがすと、かなり強力なテープのように思える。
「このテープは普通のテープとは違うの?」
「そうさ、セロファンテープやビニールテープじゃすぐに剥がれちゃうから。これは医療用の粘着テープさ。少し位汗なんかで湿ってもとれないさ」
恵子はテープをアヌス側に引っ張る。位置を男に確認すると、男のアヌスを塞がないようにその両端にテープを張り付けてやる。
「そう、そう、ありがとう」
男は起き上がり、テープの固定を確認すると、玉の部分をいとも簡単に体の中に押し込んでしまう。そして付け根の部分にもう1枚のテープを張るとそこは本当に女の子の股間のようだった。
「どう、女みたいだろう」
「そ、そうね」
男はバッグの中からショーツとガードルを取りだすとそれを身につける。正直、恵子が穿いているショーツやガードルよりきれいだった。恵子は目の前で起きていることが信じられなかったが、冷静に見守る。男はストッキングを穿きスカートを穿いた。
「恵子、これから女2名で散歩しよう」
その言葉に恵子は切れた。体まで許した恋人は女装趣味があり、自分よりきれいな下着を身につけている。恵子はそういう趣味はないと自分に言い聞かす。
「私、帰る。じゃね」
「恵子、待ってくれよ、怒ったか」
恵子は振り向きもせずにホテルの部屋から出て行った。男はそれから1名で女装してホテルの部屋を出て行った。
それから恵子はその男の誘いには出向かなかった。でもきちんと別れなければいけないと思い、恵子から話があると最後の誘いをした。公園で待ち合わせると恵子は別れ話を持ちかけた。男はがっかりもせずに、あ、そう、とばかりに別れに応じる。恵子はこの数カ月の恋愛は何だったのだろう、どうしてあんな男を好きになってしまったのだろう、と後悔する。
恵子はそれからインターネットで男性自身を折り曲げることについて調べてみた。そこにはタックという方法で女装する方法や経験やグッズの販売までしているサイトそして、そういうことを楽しむお店までが表示された。以外とこういうことに興味を持つ男性は多いのかしらと思いつつ、でも私はそういう人は好きになれない、と自分の気持ちに素直になっていった。だが、それから男性恐怖心というものが強くなっていった。恋愛してもまた、女装趣味の人だったらどうしようと思うようになってしまっていた。
 

大人の赤ちゃん返り
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